覇王の描く盤上に
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未来での最大の壁になるであろう曹操の事を考えていると、虎牢関内部の細作に出していた明命が帰ってきたようで、少し肩で息をしながら私の天幕に飛び込んできた。
「お帰り明命。報告を聞こう」
呼吸が落ち着くのを待ち、ふうと一つ大きく息を吐いたのを見てから聞くと、彼女は表情を引き締めてから話しだした。
「呂布の感覚が鋭すぎてあまり近づけず、これといった情報は手に入りませんでした。ですが洛陽からの伝令が関に来たのを確認しました。」
「洛陽から?」
「はい。慌てていた様子でした」
「そうか、ご苦労だったな。ありがとう、しばらく休んでくれ」
「はっ!」
洛陽からの一方的な伝令か。もしや何かあったか。
予想されるのは内部の諍いだがそれならば今日明日の内に動きがあるな。
対応のため虎牢関の防衛に当たっている将兵が減るかもしれない。減るのならば張遼か。
陳宮と呂布がいれば虎牢関はしばらく耐えられる。しかし兵数が減る事によりそのうち破られるとして追撃を許しその後の洛陽での防御が厳しくなる。
ならばどう出てくる?
私ならばどうする?
そうだな、あちらの手持ちの札ならばここで決めたい。
これは呂布が動くな。曹操軍と連携を取るべきだ。
「あー、うざったい。これだから攻城戦は嫌なのよ」
気怠そうに言いながら雪蓮が天幕に帰ってきた。我が主はどう判断するのか。
「お帰り雪蓮。明命から一つの報告があった。私の予想では敵本拠地内部に動きがあったと見るが」
「へぇ、ならそろそろ城攻めも終わらせられそうね」
「ああ、そこでお前の考えが聞きたい」
癪だが勘込みでな。
「そうね、普通なら張遼を帰すだろうけど……ないわね」
「何故そう思う?」
「神速と天下無双。二つ使えば楽でしょう?」
「確かに楽だろうけど洛陽はどうするの?」
「夕方の動き次第だと思うわ」
雪蓮がにやりと笑い、後に私と目を合わせ片目を閉じて言った。夕方の……そうか。そういうことか。
「曹操軍には?」
「伝えましょう。じゃないとさすがに厳しいわ」
「わかった。思春」
「はっ」
「曹操軍に伝令。洛陽内部に動きあり、明日まで警戒を強めるべし、と」
「御意」
あの曹操軍の軍師ならば軽く予測を立てることだろう。
明日までが山場か。
†
「報告ご苦労。孫策に礼として虎牢関の一番は譲ると伝えなさい」
孫策軍からの伝令を帰し桂花の方を見る。
「予想通りね、桂花」
ぺこりと頭を下げ嬉しそうな笑顔で私を見やる。本当にいい成長を遂げている。
日にちの予測が難しかったから情報の伝達が自分達より早く確実な孫策軍を使った。
今回の発端から董卓が傀儡なのは目に見えていた。後ろにいるのは十常侍。
十常侍は華雄が討ち取られ未だ戦況が五分五分
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