暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王GX−音速の機械戦士−
―黒幕との邂逅―
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 明日香と背負われたレイと共に逃げ込んだ部屋には、運良くゾンビがいなかったようで、少しだけだが一息つくことが出来た。ロッカーに背中を預けながら座り、同じように座った明日香と向き合う形となる。

「……何がどうなってるか、分かるか明日香?」

「……ごめんなさい、私にも分からないわ。三沢くんが体育館に生存者を集めてる、っていうのは聞いたけど」

 未だに意識を取り戻さないレイを横にして、明日香は思索に耽りながらそう呟いた。どうやら三沢は別れ際俺に言った通りに、生存者をかき集めていてくれるらしく、俺たちが目指す場所もやはり体育館ということになるだろう。

 ……その前に休憩時間も兼ねて、お互いの情報を交換するべきだ。明日香が生存者の集合場所が体育館と知っているならば、俺から言える事といえば、三沢から聞いたデュエルゾンビは《集団催眠》か《洗脳光線》のようなカードで操られている可能性が高い、ということと、レイを助けようとしていたことぐらいしか無いのだが。

「私は……見張りをしてた場所で囲まれてしまって。逃げている間に鮎川先生に会ったんだけど、レイちゃんを託されて鮎川先生は……」

 ……そこから先は明日香に聞かなくても分かる。鮎川先生ならば、そこでレイを明日香に託した後、自分はその場に残って明日香をデュエルゾンビから逃がすことだろう。

 鮎川先生のデッキは【シモッチバーン】。クロノス先生程ではないにしろ、鮎川先生も充分な実力者だが……【シモッチバーン】は連戦して常勝無敗という訳にはいかないデッキだ。強力なデッキではあるが、キーカードが引けなかったりバーン対策をされてしまって、それを何戦もすることになれば……

「……ありがとう明日香、レイを助けてくれて」

 ……こうでも言ってやらなくては明日香は救われない。明日香の肩に手を置いて、彼女の目を見ながら今の自分に出来る精一杯の励ましだ。

「こっちこそありがとう、遊矢……でも、レイちゃんは……」

 言いにくいように伏し目がちになる明日香だったが、その理由は今のレイを見れば充分に良く分かる。おでこに乗せられた手拭いは何の意味も成さず、今なお高熱でうなされて意識を取り戻してはいない。

 鮎川先生がいなくなってしまった今、もはや十代たちが探してきている薬に賭けるしかない……その為にも、俺たちは体育館に急がなくては。

「よし、俺たちも体育館を目指そう」

「悪いけどそれは困るなぁ」

 突如として部屋に響き渡る俺と明日香以外の声。声がした方向に反射的に振り向くと、そこにいたのはラー・イエローの制服を着た加納マルタン。

 デュエルゾンビになっているかと思い、早々とデュエルディスクを構えて明日香の前に出たが……彼はデュエルゾンビにはなってはいなかった。しか
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