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誰が為に球は飛ぶ
青い春
漆 磨いてきたものはボールだけ?
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いう練習だ。
基本となる姿勢の確認と定着。
地味な練習である。

「怒られちゃった」

健介と藤次は練習を再開する。
膝が前に出過ぎず、腰が後ろに引かれ、尻と頭を繋ぐラインが真っ直ぐで、地面に平行近くなる。頭の位置が低く、グラブを持つ左手の力が抜けている。

「……」

藤次&健介のペアの隣で同じドリルをこなしている真司は、健介の捕球姿勢をしげしげと見ていた。



「んっ…」
「これ結構難しいな」


次の練習は、転がしたボールに対して正面に入り、捕球のタイミングで足を開いた捕球姿勢を作って股の間を通過させるというもの。
これは健介の案の練習だ。
実際に捕球しない分だけ、より足の運びに注意して確認できる。



「ほれっ」


慣れない動きに戸惑う他の面々に、健介が手本を見せる。ササッと力の抜けたステップでゴロの軌道に対して右側から入り、打球が手元に来るタイミングでちょうど正面に。瞬時に捕球姿勢を作って、股の間を通してからまた送球のステップ。


「上手い。」


真司が声を上げた。藤次が目を丸くする。


「おい、ケンスケェ!センセに褒められたでェ!」
「またまた碇はお世辞を言って…」

真司は首を横に振った。

「お世辞じゃないよ。一つ一つの動きが基本に忠実で丁寧じゃないか。ですよね、剣崎さん」
「あっ…うむ」


突然話を振られた剣崎は、少し慌てながら頷く。健介は満面の笑みになった。

「やったー剣崎さんに褒められたぞーー
あの新琴似の3番の人にーーー」

真司の具体的な賞賛より、剣崎の頷きの方が健介にとっては価値が上のようである。これには真司はガックリきた。

「ただ…あいつも上手い」

剣崎が視線を移し替えたその先には、健介がやったのと同じような動きをしっかり再現している、薫。

「ハハッ、これ結構面白いね」

つい最近野球を始めたようなものの癖に、いとも簡単に動きを習得してみせる薫。
健介の顔が一瞬にして固まってしまった。














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