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デュエルペット☆ピース!
デュエルペット☆ピース! 第3話「英雄超克」(前編)
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 とある金曜の朝。場所は白鳩高校、始業前のファースト・プラムの教室のドアがガラリと開けられる。その瞬間、ざわついていた教室が、一気に静まり返った。教室に入ってきた女生徒、小鳥遊アズサの存在によって、一気に空気が凍りついたのだ。

「あ……おはよう……ございます」

 なけなしの勇気を振り絞ったアズの挨拶も、誰も応える者はおらず、張り詰めた空気に叩き返される。アズは目を伏せ、あらかじめ副校長に指示されていた席に着いた。ひそひそと耳打ちする声があちこちで立ち上り始める。現代子らしい耳の早い生徒たちは、既に昨日担任教師が変死したことと、その現場にこの少女が居合わせていたことを聞きつけているのだ。

―――なんで逮捕されてないの?

 よりにもよって、最初に聞き取れた級友の言葉がそれであった。その言葉が残酷にも胸に突き刺さり、アズの身体がかすかに震えた。360度全方位から、疑念と視線に心臓ごと射抜かれるような感覚。
 もっとも、彼女のすぐ後ろの席の茶色のショートヘアの女生徒は、机に突っ伏して熟睡していたので、実際にアズへ向けられた視線は270度に過ぎなかったが、それはこの時点では、大した意味を持たない事実である。
 問題は、視線以上に、ファースト・プラムに横たわる空気が、その鋭利な先端をアズに突き付けていることだった。


                     *     *     *


 アズが教室の空気に刺し貫かれている時点から少しさかのぼって、その前夜。アズと別れた白獅子グラナイトが、月明かりをバックに登場した新たなデュエルペット、赤き瞳のペルシャ、ガーネットと対峙していた。

『ガーネット……まさか「十二至宝」のあなたが派遣されて来るとは……』
『ノンノン。違うわよ。ワタシが来たのは自分の意思。女神様は関係ないわ』
『し、しかし、あなたは神殿警護の任に就いていたのでは?』
『だって、神殿勤めなんかつまんないのよ。もう何年も人間界に出てないんだから、いい加減退屈するわ』

 美麗なペルシャは、くぁん、とあくびを噛み殺しながら、こともなげに言った。

『ということは……勝手に抜け出したのですか?』
『いいじゃない。別にルーキー君の仕事の邪魔はしないわよ』
『そ、そういう問題では! 女神の命に背くのはデュエルペットの存在に関わる問題で』
『ったく、カタブツねぇ。それより、問題はあんたの方でしょ、ルーキー君』

 四肢を地に着け、猫らしさを演出していたガーネットは、突如二足で立ち上がり、獅子の鼻先へ指を突きつける。思わずナイトは一歩後ずさった。

『私……?』
『そう。あんた、さっきの子をパートナーにし損ねたでしょ。デュエルさせたし、デュエルワールドの情報をハンパに明かしておきながら、最後は悲
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