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少年は魔人になるようです
第82話 少年は新技を習得したくないようです
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ば危険なほどの"技術"、それが『闇の魔法』。

練られた魔力は渦となり、ラカンを中心として回り始める。


「"プラ・クテ・ビギナル! 来れ 深淵の闇 燃え盛る大剣!闇と影と憎悪と破壊 復習の大焔!!

我を焼け 彼を焼け そはただ焼き尽くす者!!『奈落の業火(インケンディウム・ゲヘナエ)』!!"」

「なっ……!?」

「ちょーー!!」

「『術式固定(スタグネット)』!!」


上級魔法・・・それが完成し放たれようとしたが、ラカンはそれを直前で止めた。

『術式固定』、完成した魔法を放たずに塊として固定する技。系統としては遅延呪文と同じだが、

難易度は遥かに高い。それも、上級魔法といえば尚更だ。そして、それを―――


「『掌握(コンプ・レクシオー)』!!」

「(握り潰した!?違う・・・取り込んだんだ!)」

「"魔力充填(スプレーメントゥム)・『術式兵装(プロ・アルマティオーネ)』"!!」


炎と闇の魔法を取り込んだ事により、ラカンの様子が変わる。肌は褐色というよりも"黒"くなり、

周囲には炎と闇が渦巻く。これが、『闇の魔法』。瞬間の破壊エネルギーを自身の中に取り込む事で、

その魔法の持つ属性と特性、そしてその破壊力を"装備"する魔法技術。


「ぐ……やっぱキツイな。つか、俺様は元々つえーから、こんな事する必要ねーんだがな。

い……いいか?これはこの技の一端にすぎん。本来この技の核心は……ぐっ……。」

「ら、ラカンさん!?」

「い、イカン。やっぱ俺様でも無茶だったみたいだぜ……。さ、流石は死神と真祖の魔法……こりゃ、

し、失敗……だ、った………たっ……たっ―――!!」


ビシビシッ、と体から魔法が溢れつつも喋り続けたラカンだったが、とうとうそれも限界。

規則正しく漂っていた炎と闇はあちこちに飛び、足元の水も煮立ち始めている。

そして―――

ぼっぱーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!
「たわらばぁっ!!」

「ラカンさーーん!?」

「おっさーーーん!?」


大爆発。いや、自爆と言った方が正しいかも知れない。ピクリともせずに水に浮かぶラカンにネギは泡を食い、

それを見ながら、千雨が一言放った。


「…………もうつっこみきれねぇ。」

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