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乱世の確率事象改変
出会ったのは雛鳥
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大好きなんだなぁ」
 すると鳳統ちゃんは黙ってしまった。何故泣きそうになる。俺、なんか地雷踏んだ?

 †

 少し朱里ちゃんについて話しすぎた。
 私の話が途切れた合間に徐晃さんが放った言葉が胸に刺さる。
 ジワリと湧き出る黒い感情は、瞬く間に自身の心を埋め尽くしていく。

 その感情の名は嫉妬。

  なんでだろう。悩んでたこと、今この人に話したほうがいいって思う。
 最初は変な人だと思ったけど話してみると優しくて、先生と話してるみたいな気持ちになってた。受け入れてもらえそうな。甘えてもいいんだろうか。会ったばかりの旅人さんなのに。
「……大好きな親友なんです。でもたまに暗い気持ちを向けてしまうんです。がんばっても追いつけなくて、私には目標がないけど確かな目標に向かって努力する朱里ちゃんが羨ましくて、先生に私より褒められてるのが妬ましくて、嫉妬……してるんだと思います」
 気付けば話し始めていた。徐晃さんは真剣な顔で黙って聞いてくれている。こんな汚い気持ちをもった私の話を。
 あ……ダメだ止まらない。
「朱里ちゃんがいなければって何度も思いました。その度に自分が嫌いになって、直そうと思ってもまた湧いてきて。変わろうと思っても変わらなくて、一緒の主に仕えてこの大陸を良くしようねって言ってくれた時も、また私は影に追いやられるって思ってしまって、一緒にいられるのが嬉しいのに嬉しく……なく……て」
 涙が出てきた。自己嫌悪と恥ずかしさと親友への罪悪感に。徐晃さんの顔が見れない。きっと失望してるだろう。きっと幻滅してるだろう。鳳雛といわれてても結局は醜くて器の小さいダメな子だって。
「君は優しい。それに強いな」
 ポンと私の頭に手を置き、優しい手つきで頭を撫でながらその人は話す。
「誰に話すでもなく自分の内で罪悪感と戦い、自分を変えようと努力する。それに自分の才に驕らず上に上がろうと努力し決して折れなかった」
「でも私は汚くて、醜い、最低なことを、考えて……」
 そう、親友に嫉妬するなんて普通じゃない。最低なことなんだ。
 しかし徐晃さんはしゃくりあげながら話す私の言葉に黙って首を振った。
「醜くなんてないさ。いいんだよ、人間なんだ。誰だって自分に無いものを持ってる人に嫉妬する。羨望もするだろう。引きずり下ろそうとするかもしれない。でも君は親友を貶めることよりも自分が変わることを選んだ。怖くて嫌いでも嫉妬する自分を受け入れて乗り越えようとしている。それは普通の人ができることじゃない。君は強くて、優しい、いい子なんだ。大丈夫、君は最低なんかじゃないよ。そんなにも親友の事を想い、頑張ってるんだから」
 優しく微笑んで言い聞かせるように紡がれた言葉は、親友を妬む私をも認めてくれていた。
「それに今は足りなくても努力すれ
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