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東方虚空伝
第二章   [ 神 鳴 ]
二十六話 神々の戦 風雨の軍神
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 私が一言呟いた瞬間、突如足元から漆黒の猛火が吹き荒れ目の前に一本の剣が現れる。長さ二メートルの三日月型をした赤黒い大剣。刃幅は六センチもあり刀身には無数の呪詛が掘り込まれている。“魔剣ダーインスレイヴ”ルーミアの奥の手である。
 剣を手に取るのと同時に足元から吹き上がっていた黒い猛火が私の身体を包みローブの様になった。

「さぁ覚悟はいいかしら?こうなったら優しくできないわよ!」

 私はそう宣言すると須佐之男の返答も待たずに斬りかかる。

「おもしれーじゃねーか!」

 須佐之男の周囲に浮いていた剣の群れが一斉に私目掛けて飛来するが、その事如くを生き物の様に伸びたローブの裾が弾き返した。
 そして須佐之男に向け剣を一閃させる。剣から溢れ出す闇色の猛火が剣閃の軌跡をなぞり巨大な斬撃となって撃ち出された。

「なっ!?くそが!!」

 その斬撃を剛刀で受け止めた須佐之男が威力に負け押されていく。私はその隙に須佐之男の側面に回り込み即座に第二撃を叩き込んだ。

「がぁっ!!」

 闇の奔流に飲まれ須佐之男が吹き飛ばされていく。此処が勝機。私は吹き飛ばされた須佐之男に向け意識を集中する。
 瞬間、須佐之男を巨大な闇の檻が包み込んだ。虚空に使ったあの闇の結界だ。あの時は油断と虚空のおかしな能力のせいで破られたが今度は最初から容赦無しだ。
 私は檻に捕らえた須佐之男に向け四方八方から闇色の獣達を(けしか)けた。視界の利かない暗闇の中、黒き獣達の牙や爪が獲物である須佐之男を蹂躪する。須佐之男は剛刀と無数の剣を操り抵抗しているが多勢に無勢、徐々に傷が増えていく。

「くっ!…まさか妖怪相手に本気を出す嵌めになるなんてな!!」

 負け惜しみのかと思った瞬間、突如須佐之男の周囲からあふれ出した水の様な物に私は闇の結界ごと飲み込まれた。




□   ■   □   ■   □   ■   □   ■   □   ■




 少し時間を遡り。
 虚空と神奈子の戦いは神奈子が有利に進めていた。

「これはどうだい!」

 彼女の周りを囲むように二十二本の柱が現れる。長さが四メートル幅三十センチの六角の柱。その柱が一斉に僕目掛けて放たれた。あんなのに打ち付けられたら唯じゃすまない。
 高速で尚且つ空間を縦横無尽に荒れ狂う御柱を掻い潜りながら神奈子への反撃を考える。確認の為に神奈子に向け光弾を放つが、柱が壁の様に束になりこれを防いだ。
 攻守に使えて柱自体の強度も相当なものだ。厄介すぎる手札。
 嫉妬(レヴィアタン)を使って吹き飛ばすか、いっそ暴食(ベルゼブブ)を使うか、僕がそんな風に次の一手を考えていた瞬間、さっきからまったく動かなかった神奈子が間合いを詰め棍を振り下ろしてき
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