暁 〜小説投稿サイト〜
もしもこんなチート能力を手に入れたら・・・多分後悔するんじゃね?
第13次封神計画
[1/6]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
昔、おじいちゃんの葬式をした。悲しくて悲しくて、それから数日涙が止まらなかった。

昨日まで元気だったと思った矢先の、永眠。棺桶から顔を見せるおじいちゃんの鼻や口に詰め物がしてあるのを直に見て、温もりの無くなった顔を触り、それで初めて「ああ、死んだ人は生き返らないな」という事実を確認した。
身体が小さかったのでお墓の中に骨壺を入れる役目を任されたときは、おじいちゃんがあの狭い空間に永遠に閉じ込められるような気がして、でも誰かがやらないといけないから納骨してあげた。
お墓に線香をあげて最後の別れを告げ、再び泣いた。

数年後、おばあちゃんが死んだ。その頃にはもう何度か葬式に参加していたため、おじいちゃんの時ほど涙は出なかった。人の死に慣れちゃったんだ、と思い、何となく泣けない自分が嫌になった。
その頃には納骨は業者がやってくれるようになっており、私はおじいちゃんと同じお墓に入っていくおばあちゃんの骨壺を黙って眺めた。
お墓に線香をあげたが、やはり涙はそれほど出てこなかった。おばあちゃんだっておじいちゃんと同じくらい好きだったはずなのに。

次に泣くのはいつだろう?まだちゃんと、涙が出ると良いな。

「ねぇ、ぽんず?」
「ぅなーお」

それはある日の休日の、独身OLが飼い猫と交わした思い出の一つ。
今では決して帰ることの出来ない、過ぎ去りし日。



もしもこんな世界に来たことでぽんずを喪ってしまったというのなら・・・多分、私は後悔するだろう。

もしもこんなチート能力を手に入れたせいでこんな結果を招いたっていうんなら・・・私は後悔している。




〜 第13次封神計画 〜




微かに漂ってきた鉄臭く生臭いその臭気は、明らかに海のものではなく血潮の臭い。

もしや、我々の様に未来を殺された者の中から一般人を無差別に襲うものが出たのか?という疑問を抱いたのはディアーチェだった。

彼女たち自身は現在の自分たちの状況に関しては楽観も悲観もしていない。単に我の強かった自分たちが、意識集合体などという曖昧な形になるのを拒絶した結果この世界に形を得たというだけの話である、というそれだけの認識だった。ただ、無為に消えるのが気に食わないから最後まで自分らしくありたい、と考えたディアーチェは取り敢えず家族とも家臣とも言えるシュテル、レヴィ、ユーリの3人と事の顛末を見物しようと考えていた。

刹那的な生き方というか諦めているというかそんな風に受け取れるもしれないが、彼女たちは自分がこの世界に存在しないという事実を既に認識しているのでさほど気にしていなかった。というかぶっちゃけ思念体になって漂っていたときに”正の思念の流れ”っぽいものを発見していたためここでの体が無くなったらそちらに遊びに行ってみよう
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ