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ゲルググSEED DESTINY
第七十八話 諸行無常
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?前々から知っていたとは思うのだが、クラウ――――君はこのデスティニープランに対してどう思っている?」

問われたことで立ち止まって振り返り、そのまま議長の方へと向き直る。彼はいつもと変わらない様子で返した。

「――――どうでもいいです。俺の運命が(・・・・・)これで変わるというのなら賛同しますが」

その答えにならない答えを返し、今度こそクラウは退出していった。

「フム、これはある意味想定外だな――――だが、逆に分かりやすくもある。もうしばらく彼は使えるな……」

議長はそう呟くが、その言葉を聞き取った人は当然一人もいない。無論、議長も誰かに聞いてもらう為に呟いたわけではない。寧ろ、彼からしてみれば一人そう言葉を紡ぐことによって頭の中を整理させるための行動なのだろう。

「平凡の才を持つものでありながら非凡の存在と成している――――しかし、何も特別なことではない。そう、彼は己の才覚を万全にまで持ち上げてきただけの存在だ。故に、枠を超えることのない……いや、決して超えようとしない彼は私にとっては非常に便利な手駒だ」

クラウ・ハーケンの遺伝子に囚われない異質な存在であると、以前はそう思っていた。しかし、確かに新たな技術の発見や新型機の開発に関してはそういった面を見たが、別に遺伝子を超えたわけではないのだ。パイロットとしての技能、技術開発者としての実力、エクステンデットを治療した際の医療技術、それらは総てが高い数値を示したものの、その総てが遺伝子が示す才能を超えてはいなかった(・・・・・・・・・)

「彼の持っているものはどれも限界に至る事によって補ってきた技術ということ――――」

つまり、不可解ではあるが不可能ではない。彼の持つ総てはそういう事なのだ。誰でも才能が無くとも永遠と努力を行えば秀才にはなれる。クラウの持つ実力はまさにその秀才と同じことだといえた。
やはり、ポーンは所詮ポーンでしかなかった。プロモーションを行う事で己を変質させることは出来たのだろう。しかし、それもまたルールの内側に束縛されたものでしかなかったということだ。ポーンが己の枠を超えてキングになる事もなかったし、ルールに存在しない存在になる事もなかった。当たり前ではあるのだが、その当たり前ではない出来事を望んでいた議長としては些か以上に期待外れだったとも言える。

「結局、彼が私の望んだ立場に立つことはないだろうが――――新たな可能性を見出すためのきっかけとなったことは事実だ。そして、彼のおかげで本当の意味で私の望んだ立場に立つ者が現れた。大きな収穫だよ、これは……」

普段と変わらず、彼が笑みを崩すことはない。寧ろ今浮かべている彼の笑みは獲物を狩る狩人の様に鋭いものであった。

「さあ、そろそろ私も君たちと同じ舞台に立とうでは
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