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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
番外編「オーバー・スペック 前編」
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では知らぬ者の居ない壮大な版権クロスオーバーを売りにしたゲームだ。IS至上主義によるヒーロー物への冷たい風あたりを受けながらもきっちりシリーズが続いているのは素直に感心させられる。

割とイロモノ扱いされることも多いが、ヒーロー物大好きな簪のような存在には垂涎(すいぜん)モノの逸品だ。

「さてと・・・そろそろ約束の時間ね」

態々時計を確認せずとも体内時計と日の光の角度でおおよその時間を割り出した楯無は本を机に置き、一度伸びをしてから部屋を出る。実は今日、彼女にとって避けて通れないある個人的イベントがあったのだ。別に遅刻しても相手は起こらないだろうが巌流島の決闘の様な姑息な真似をした挙句遅れたほうが負けたりしたら笑いものだ。
負けたら―――そう、今日彼女はISによる模擬戦を行う。その相手は学園最強を自称し、技術者としてもIS操縦者としても世界に通用する実力があるという自負のある彼女が「敗北」の二文字を覚悟しなければならないほどの存在だ。

この学園で彼女がそこまでの覚悟をする必要があるのは3人。一人は一度世界最強の座を勝ち取った織斑千冬(ブリュンヒルデ)。一人は親友にしてライバルである存在。そして最後の一人・・・それが今回の対戦相手だ。

その男は戦いの天才である。
その男は規格外の存在である。
その男は家族愛を重んじている。
その男は形式上は楯無の護衛対象である。

初めて生身で相対した時、決着がつかなかったことに本気で安堵した。奇襲を仕掛けてきた3機のISを護衛対象持ちで相手取って、犠牲も傷も負わずに封殺する姿を映像で見た時は生唾を飲み込んだ。何度か生身での試合を申し込み、本当に人間なのか疑いたくなった。

その男の名は―――残間承章。彼女の知る限り、恐らく今現在地上でもっとも強い”男”である。



= = =



足場が弾丸の嵐で弾け飛ぶ寸前にステップでその場を離脱し、それと同時に腕部装甲を展開。内部にずらりと並ぶ砲身をむき出しにし、速度と威力を両立した特注品のグレネード弾頭を矢継ぎ早に発射する。手動照準がゆえに手強い先読みに楯無は歯噛みしながら手持ち武器の『蒼流旋』を再び発砲、変則機動で射撃を躱す。

状況は芳しくない。こちらは無反動旋回を頻繁に使用してのかく乱を行っているにも拘らず夏黄櫨の射撃は何所までも正確だった。遊び、逃げ道潰し、先読みなど射撃に必要な凡その技術全てを活用した射撃はとにかく手堅い。
その射撃に対して楯無が抱いた感情はただ5文字。

(有り得ない・・・!!)

格闘戦で桁外れの能力を持っていることは知っていた。だが射撃となれば話は別である。彼が今までに銃器を扱ったことがあるという報告はIS学園内でのデータ取りの際のみ。にも拘らずマニュアル照準でここまで『手慣れ
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