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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第八十二話 フェザーン謀略戦(その4)
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が本当にそうだろうか? 余裕が無かったのは二度も大敗を喫した同盟も同じだろう。むしろ損害の度合いは同盟の方が酷かったに違いない。

多少の無理は押しても再親征すべきだったと思う。同盟にもう一撃加えれば同盟の方から和を乞うてきた可能性も有ったはずだ。親征が出来なくても臣下に大軍を与え遠征させるべきだった。それが出来なかったのはやはり信頼する重臣の反乱が影響していたと思う。

皇帝コルネリアス一世は周りを信じられなくなっていたのだ。目の前で震えているレムシャイド伯同様怯えていたのだと思う。だから親征できなかった。臣下に巨大な兵権を預けるのも危険だと思った、だから同盟に対して止めを刺せなかった……。俺はそう推理している。そして百二十七年前にもそうなるだろうと推理した奴が地球に居たのかもしれない……。

「証拠は有りません。アドリアン・ルビンスキーの言う通りですよ、証拠は何もないんです。出鱈目だと言われても反論できない」
「……」
俺の言葉に皆の視線がルビンスキーに向かう。レムシャイド伯を除く皆が不審の目で見ていた、そして伯は両眼に憎悪を込めている。ルビンスキー、お前がどれほど無罪を叫んでも皆がお前を有罪だと言っている。日頃の行いの所為だ、反省するんだな。ペットボトルの水を一口飲んだ。これからだ。

「亡命して分かったのですがあの当時の事は今でも良くTVで放送されています。同盟は軍の再建が思うように進まずかなり苦労したようです。そんな時に地球はレオポルド・ラープを使って同盟政府と秘密裏に接触した、イゼルローン回廊以外にも使える回廊が有ると言って……」
「……」
ローゼンリッター、そしてサアヤが頷いている。彼らも俺と同じものを見たはずだ。俺の言う事に共感するところが有るのだろう。

「もし帝国が両回廊から攻め寄せてきたらどうなるか? 当時の同盟政府にとっては悪夢だったはずです。頭を抱える同盟の為政者に対してラープは中立国家フェザーンを創る事を提案した。地球の事は伏せ、あくまで利を追及する商人としてです。当時の同盟の為政者はそれに乗った。中立国家フェザーンを創ることで帝国の侵攻路をイゼルローン一本に絞る……」

「馬鹿な、そんな話が反乱軍ではあるのか」
反乱軍か……、何時もの呼び名が出たと言う訳か……。レムシャイド伯に視線を向けた。伯は震えていた、怒り、恐怖、怯え、その全てが混じっているに違いない。

「有りませんよ、有るはずが無い。もしこの事実が帝国に知られればフェザーンはあっという間に帝国によって滅ぼされました。そしてフェザーン回廊から帝国軍が押し寄せてきた……。同盟政府もレオポルド・ラープも必死になって接触した形跡を消したはずです」
「……」

震えているレムシャイド伯に笑いかけた。伯がまた怯えた様な表情をした。失礼な
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