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“死なない”では無く“死ねない”男
話数その5 食べられない
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ちまった……どうやって直そうか、この癖……」


 ―――何と、肉塊がグニュグニュと、しかし途轍もない速度で集まって行き、どんどん人の形を成していく。しかも喋っているのは、その人の形をした肉の塊が持っている……声帯と思わしき部分と喉の骨と思わしき部分、そしてそれにつながる口だった。それが単独で動き、喋っていたのだ。


「……なぁ、あんたなら分かるか? 癖の直し方……よぉ」
『な、が、あ……!?』


 余りに常軌を逸した光景に、化け物は顎が外れんばかりに驚き、声が出無くなってっていた。


「……別にいいか、今は。……化け物用の武器、化け物用の武器っと……良しあった」


 もう既に元の形になり、何時間にか服を着ていた晋は、光を放つ剣と妙な形をした銃を取り出し、構えた。
 やる気満々(かどうかは分かり辛いが)の晋に対し、化け物は未だ驚愕の表情で、晋に対し指を突きつけた。


『何なんだ……何なんだお前はぁ!?』
「……前の奴は、“348回”だったな……」
『な、なにを―――』
「お前がふっ掛けた喧嘩だ………いいか? 勝手に狂うんじゃねぇぞ?」


 念を押すように言った後、晋は合図も無く駆けだす。 相手の化け物もそれに対抗した。











『う……ぬあああ!!』
「痛て、千切れた……」
『グブ……ガァァァ!!』
「ぼぁ、ぼぼぼがぼらぼぼ(ありゃ、顔の上部分吹っ飛んじまった)」
『……ぬぐぶ!……アアア!?』
「うわ腹、丸ごと無くなったよ……」


 あれから数時間は経っただろうか、化け物には心身ともにダメージが積み重なっているのに対し、晋はボロボロではあるものの、まだまだかなり余裕がある。いや化け物の様子と比べると、まだまだかなりの余裕、では足りないかもしれない。



「……一応態と受けてんだが……ちょっとふざけが過ぎた……避ける事も覚えねぇとな」


 武器をブラブラ振りながらブツブツ呟く晋へ向けられる化け物の視線は、最初の勢いなど何処へやら―――怯え一色しか無かった。


(後何回引き裂けばいい? 何回溶かせばいい? ……後何回殺せばいいんだ!?)


 数十回か、はたまた数百回か……だが、その前に自分の身が朽ち果てる事など、化け物には分かり切っていた。
 眼の前の男は、死なない事を除いても常人よりもはるかに強い。その所為で、自分の体にもダメージがかなり溜まっているのだ。“対化け物用”の武器の事もあり、いずれ殺されるのは目に見えていた。


(こうなったら……!!)


 決心した化け物は、油断しすぎとも言える晋へと腕を伸ばして彼をつかみ、すぐさま口へと放り込んだ。
 すると、今までの騒ぎが嘘のよ
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