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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第六四幕 「親子の在り方」
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前回のあらすじ:鈍感な簪は、好きですか?


てきぱきと荷物を梱包するセシリア。その手つきは手慣れたもので、IS学園郵送課で貰える梱包材を綺麗に詰めて荷造りは終了した。後はこれを郵送課に持って行き、チェックをすませればこの荷物はセシリアの手元を離れ、最近すっかりご無沙汰の母国の実家へと旅立つ。必要ないものは捨てるか実家に送りつける。そうすれば後は専属メイドのチェルシーが勝手に片付けてくれる。

「―――あれ?お姉さま、何かお送りになるので?」

ふと背後からかかった聞きなれた声にセシリアは手を止めて後ろを振り返る。最近はすっかりこの部屋に入り浸っている少女、つららの小首を傾げた姿がそこにはあった。最初はこの背後からの忍び寄りに驚かされたが、最近は部屋に入った時点で普通に気付ける程度には慣れてしまった。

「ええ、今回のトーナメントで贈られた表彰盾を実家に送るのです」
「え、送っちゃうんですか?うーん、でも確かに部屋に置くにはちょっと目立ちすぎますしねぇ・・・」

この表彰盾、流石IS学園というか・・・ガラスの中に純金のプレートが入った特別デザインであり、非常に目立つ外見をしている。正直インテリアとしては目立ちすぎるし自慢たらしいので、つららも自分の自室に飾る気は起きなかった。IS学園という限られた人間しか入学を許されない場でその中から更に一握りにしか与えられない表彰盾だが、セシリアのそういう判断にも頷けるものがある。

「でも、お姉さまのご家族はきっと喜ばれますね!」
「それはどうでしょうか?」
「・・・え?」

特に顔色を変えることもなくセシリアが言い放った言葉に、つららは意味が分からず聞き返した。だってこの表彰は世界的に見ても名誉なものである。自分の家族がそういった物を受けとれば、少なくとも家族は誇らしげに思うはずである。しかし、オルコットの家は事情が違うことを、つららは知ることになる。


「―――これは、母に対する嫌がらせみたいなものですから」

そう、これは手紙の返事も出さず、連絡も取らない母へのささやかな嫌がらせだ。娘を愛していない母に対する、「私も同じです」という子供っぽい意思表示に他ならない。
母はセシリアそのものではなく、オルコット家として「娘が家柄に相応しく優秀である」という事実が欲しい。下らないプライドだか世間体だか、そういうものを維持するために、である。だから結果だけ送りつける。何をどうして得たかの説明など必要ないし、どんな誇らしい事をしたのかも一切伝える必要はない。何故ならばあの人には目に見える結果だけあればそれで事足り、娘のことなど理解しなくともなんら困ることは無いのだから。

――ほら、私はこんなにも優秀な結果を出していますよ。あなたはそれが欲しかったんでしょう?
――結果は
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