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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
夢の狭間で ─戦いの理由─
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女を持ち上げ盾にして防ぎ、逆方向から迫る投石に投げ付けることでそちらも防ぐ。

 死してなお傷を負う少女は不憫だが、これは殺し合いだ。
 余計な感情を挟まないその判断は合理的であり、青年は戦闘者として優れた思考をしている。

 言ってしまえば、どんな生き物でも死んでしまえばただの肉塊であり物なのだから。
 その戦場の掟を踏まえているように、白の少女たちも青年を攻撃するにあたって同族だったその残骸を厭うことなどない。

「ハァ……ッ!」

 再び振り落とされる大剣。

 青年はその剣の軌道上に、槍を地面に突き刺すことで弾く。
 槍の底を叩く大剣は予想外の位置で止められたことで威力を削がれ、使い手である少女は思わず仰け反った。

 腰に差した双剣を握り、青年は仰け反ったままの少女を斬る。
 左の一撃目で骨まで到達し、右の二撃目を傷に重ねるように振り抜き、頚骨ごと首を落とす。

 ボトリ、と。

 ガシャリ、と。

 首が落ちた直後に、振りかざしていた大剣も地に落ちる。

 噴き出し溢れる鮮血は地面に降り注ぎ、落ちた頭蓋は赤い噴水となった自分の胴体を見つめている。
 首を亡くした胴体は一頻り血を噴き溢してようやく崩れ落ち、探していた落とし物を見つけたかのように自身の首へと倒れ込んだ。



 そして。

 大剣を振るっていた少女の体が倒れるまでの間に、弓矢、投石、鋸刀を持った少女たちも絶命していた。



 先と同じように飛び道具で援護しようとしていた二人は、次射を放つ寸前に投擲された短剣に頭を串刺しにされる。

 剣の軌跡は見えていた。

 避けることなど容易かった。

 だというのに、迫る刃を回避した少女たちを待ち受けていたのは、目前で翻り舞う短剣だった。
 如何なる魔術理論で編まれたものか、元の軌道から誤差を修正するようにして短剣は進行方向を変えたのだ。

 ────死鳥の羽撃。

 その双剣には攻撃対象に二度襲いかかる、『追討』の概念が付与されている。
 一人の相手に対してなら四度の翔撃を見舞う、C級魔術礼装だ。

 頭蓋で最も骨の薄いこめかみを貫かれた少女は脳髄を破壊され、向かい合うように倒れ伏す。

 残る少女は好機とばかりに徒手空拳となった青年に斬り掛かるも、鋸刀は右手の黒鋼によって止められた。
 並みではない衝撃が少年の体躯を襲うが、強化と硬化を重ねがけし、更に体捌きによって横殴りの衝撃を拡散させる。

 その瞬間、黒鋼からの束縛の呪いを受けた少女は身動き一つ出来なくなり、青年は無防備を晒す少女の腹部に左手を宛がう。

 ガコン、という音と共に、少女の腹には空洞が生まれていた。
 魔術と魔薬で生成し精製された炸薬弾を、零距離で体内に打ち
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