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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
短編 あるお盆の物語 J
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続いて、第二部隊のところである。

「豊・・・貴方は何故龍が現れたのか分かるのですか!?」
「相手が霊獣だから確信はできんがな!少なくとも、アレはシンの力ではない!」

天に上がった龍が完全に顕現するまでの時間を使い、二人は情報の交換をする。
龍が顕現しようとしている余波で風が強いため、声を張り上げながらだ。

「では、何の力だというのですか!?」
「恐らく、大元は法螺貝の怪異、出世螺(しゅっせぼら)の法螺抜けだ!」

出世螺とは、山で三千年、里で三千年、海に三千年住ごした法螺貝が龍となる怪異現象だ。
そして、その龍が天に上がることを法螺抜けという。

似た現象としては、西遊記の蛟魔王が有名な海で千年、山で千年を過ごした蛇が龍となる、海千山千がある。

「ですが、あれはどう見ても法螺貝の要素はありません!」
「それ以前に、俺たちの間での常識があるだろう!妖怪は、似た性質さえあれば問題なくそれをやる!それが霊獣にも適応されるかは知らんがな!」

そして、二人の会話が終わるとほぼ同時に、龍となったシンが顕現する。

『これで我にも戦う力が備わった!さあ、武勇を決しようぞ!』
「質問ですが、豊は何か、龍に勝てるだけの力がありますか?」
「微妙なところだな。何より、アレがどれだけの力を持っているかによる。」

二人はそう言いつつも自分の獲物を構え、何か来ても対処できるようにする。
すると、龍の口から蜃気楼が吐き出される。

「やはり、シンとしての力は残っているか。『化け狐』、頼んでいいか?」
「もちろんです。渦巻きなさい、管狐!」

前は最初と同じように管狐を使って蜃気楼を吹き飛ばすが、その隙を突いて龍の口から激しく渦を巻く水流が吐き出され、二人を襲う。

「く・・・豊!」
「力技は苦手なのだが・・・蒐集されし物の怪どもよ!我らを守る防壁となれ!」

そして、二人がミキサーにかけられる前に豊が防壁を張り、どうにか耐え抜く。
現在は、防戦一方となってしまっている二人だ。

「さて・・・まず一つ、大きな問題があったな。あの高さに届く攻撃がない。」
「そうでしたわね・・・一輝ならば飛べますし、鈴女ならばそれこそ、式神がいますが・・・」
「俺たちには、それがない。が・・・」
「何とかするしかありませんわね。仕方ない、私は切り札を使います。」
「そうだな、頼んだ。」

会話が終わると、前は管狐を全員呼び戻し、小刀の状態に戻し、狐の面を被る。

「さあ、わが身に流れる血よ、今一時わが身を九尾としなさい!」

そして、前の体が狐のものとなり、九つの小刀はそれぞれが尾となる。
そこにいたのは、全長十メートルほどの九尾の狐だった。

「これで、強力な狐火が放てますし、多少は空を駆
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