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インフィニット・ストラトスの世界に生まれて
変態と紳士の境界線上 その一
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け辛かったのか。それならば、仕方がないな。許してやるとしよう」

と篠ノ之。
篠ノ之の機嫌は直ったようだが、あれ? 何だろうな、この状況は。
話が変な方向に進んでいる気がするぞ。
これじゃあまるで、俺が一夏を好きな相手に対して横恋慕しているみたいじゃあないか? そう言えば、ギャルゲーとかで主人公の友人が横恋慕する設定なんてありそうだもんな。
ああ、なるほどなって、おい! 人を勝手にそんなキャラ設定にするんじゃない。
ところで、そこの一夏と女子五人。
なんで人の話を脳内にある恋愛回路にぶち込んで、その上フィルターまでかけるんだ? 例えは悪いが、牛肉を好きだからってウシと付き合いたいとは言わないだろうが。
恋愛が絡まない好きってのもあるだろう? 何でもかんでも恋愛と関連付けるのはやめてくれ。

「よかったな、アーサー。これからは箒とも普通に話せるじゃないか」

「あ、ああ」

一夏は篠ノ之が本命だと思っていたんだが違うのか? 女子の気持ちだけじゃなく、自分の気持ちにまで解らないなんてな。
ほんと恋愛事情に関しては鈍感なんだろうな。


「ところで、アーサー。お前のことで気になってることがあるんだけどさ」

こう話を切り出してきたのは一夏だ。

「何だ? 気になることって」

「アーサーってほんとにイギリス人なのか? セシリアみたいに金髪だし眼も蒼いし見た目は確かに欧米人なんだけど……何か違和感があるっていうかさ――」

意外と鋭いな、一夏。
この鋭さが自分の恋愛事情に生かされないのはなんでだろうな。

「普段良く日本食を食べてるのを見るし、牛丼食いてーとか言ってるから、最初は日本食が好きなだけかと思ったんだけど、昨日の大広間で飯食ってるのを見てると、箸の使い方が上手過ぎる気がするんだよな。セシリアなんか関心してたぞ。シャルロットなんて、あれはどう見ても中身は日本人だよねって言ってたしな」

恐るべし、シャルロット。
本気で言っているとは思えないが、それでも正鵠を射ている。

「そりゃあ、イギリスにだって日本食のレストランくらいあるんだろうけどさ、アーサー見てると食べ慣れてるっていうより、身体に染み付いてるって感じなんだよな。アーサーって鈴みたい日本に住んでたことでもあるのか?」

「ん? ないぞ。生まれてこの方、旅行を含めても日本に来たことはないぞ」

と言った後、文末にこの世界ではなと心の中で付け足していた。

「だよなあ」

こんな会話を一夏としつつ、俺は集合場所に到着した。
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