暁 〜小説投稿サイト〜
BRIGHT ━━君が教えてくれたこと━━
プロローグ(2)
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初
よ!」
「じゃ、予知夢とかいうやつなのかもなっと」
「や、やめてよ」

 現在世間では、あるニュースの話題で持ちきりだ。
 最近、妙な占い師がテレビや雑誌などで取り上げられている。驚くことに、その占い師の予言は外れたことがなく、世間を圧倒している。最新かつ最大の予言は、?近々、地球は滅びる?。信じられない、いや信じたくはないが、この頃世界中で、火山が突然噴火する、島が沈むなどということが起きている。これもその前触れなのだろうか、と考えるだけで戦慄する。

「怖いよなあ……結、今日は家に帰ったらどうだ? どうせ、まだ眠いんだろ」
「じゃあ、お言葉に甘え……たいところだけど、本当にいいの?」
「いーのいーの。どうせ、科学とは関係ない、趣味の研究なんだしさ。俺も今から帰るよ。今日俺バイクだけど、乗ってく?」
「大丈夫。今日はちょっと、病院に寄りたいから」

 結の双子の妹、もう1人の科学部員・椎名凛は、ガンで都立病院に入院している。結はほぼ毎日、妹の見舞いに病院を訪れていたのだが、最近は研究に夢中で、なかなか行けない日も多い。

「……そうか。治りそうなのか?」
「順調に回復してる……と思う。ただ、手術したばかりだから、しばらくは元気な姿を見れない……と思う」

 一昨日やっと普通病棟に移され、直接の面会許可が下りた。
 結は脱いだ白衣──別になにか実験するわけではないので着る必要はなかったのだが、科学部員としてはなんとなく着ておきたかった──の代わりにコートを羽織り、首にマフラーを巻いた。「また明日」と河邑に告げ、部室を後にした。
 病院へ向かう途中にあった花屋で可愛らしい花を見つけたので、凛に買っていってやることにした。何と言って渡せば喜ぶかな、などと考えている内、病室前に到着した。特別病棟から移ったばかりの凛は個室なので、きっと寂しい思いでいるだろう。結は自動のスライドドアにIDキーカードを翳し、少し開いた隙間から顔を覗かせて、妹の名を呼んだ。

「凛」
「……結」

 あまりにも弱々しくなった妹の声に胸が痛くなったが、結は笑みを作った。

「遅いよ……。待ってたんだから……」
「ごめん、凛。……はい、お見舞い品……って言い方は嫌いなんだっけ? はい、お土産」

 オーソドックスな言葉と共に、先ほど購入した花を取り出し、面会者用の椅子にそっと置く。凛はその花を見、微笑んだ。

「可愛い……ありがとう」
「うん。気に入ってくれてよかった」

 その後数分間、何気ない会話を交わした。妹の体力を見かねた結は椅子から立ち上がり、帰り支度をした。その時ふいに、凛が言った。

「もう少し、いて」
「えっ……」
「今日、窓の外に、黒い蝶の群れを見たの。なんだか、怖い。あたしが……結が、消えちゃいそ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ