暁 〜小説投稿サイト〜
特殊陸戦部隊長の平凡な日々
第3話:ハイジャック事件−3
[1/12]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

ゲオルグが一通りの事務作業を終えてふと顔をあげると、夕暮れの光が
部屋の中に差し込み、床をオレンジ色に染めていた。
時計を見ると時刻は5時10分。
ゲオルグが帰ると宣言した時刻を既に過ぎていた。

(帰るか・・・)

ゲオルグは椅子の上で組んだ手を上にグッと伸ばすと、大きくひとつ
深呼吸をしてから机に手をついて立ち上がった。
脱いでいた制服の上着を羽織り、ネクタイを少し直して部屋を出る。
通路を歩いて正面玄関から外に出ると、昼間よりも少し冷たい風が
ゲオルグの頬を撫でる。

(まだ朝晩は少し寒いな・・・)

ゲオルグはわずかに身体を震わせると、両手をポケットに突っ込んで自分の方へ
歩いて行く。
ゲオルグの足は黒いスポーツカーの前でとまる。
ドアを開け、運転席に乗り込んだところでゲオルグは通信ウィンドウを開いた。
そこにはエプロンをしたなのはが微笑んでいた。

『どうしたの、ゲオルグくん?』

「これから帰るよ」

ゲオルグの言葉に、なのはは少し顔を曇らせる。

『大丈夫? 出動があったのに早いね』

「大丈夫だよ。 あとのことはみんなに任せておけばいいし。
 それにヴィヴィオとの約束もあるしな」

なのはは画面の中で首をひねりながら何かを思い出そうと宙に視線をさまよわせる。
しばらくして、急にポンと手を叩いた。

『そっか。 今日は一緒にトレーニングする日だね』

「そういうこと。 じゃあ、後でな」

『うん。気をつけてね』

なのははウィンドウが消える直前、最後ににっこり笑った。
ゲオルグは通信を終えると、シートベルトを締めて車を発進させた。





30分ほど走り、ゲオルグの運転する車は住宅街へと入っていく。
シュミット邸はこの閑静な住宅街の一角にある。
自宅に着いたゲオルグは車庫に車を停めると、助手席に置いた鞄を手に取り
玄関に向かって歩いて行く。

ポーチに立ったゲオルグが呼び鈴を鳴らすと、しばらくしてパタパタという
足音がドアの向こうから聞こえてくる。
ガチャリという音とともにドアが開き、中から現れたのは金髪の少女だった。

「お帰りなさい」

「ただいま」

笑顔で迎えに出てきた愛娘に、ゲオルグは微笑みかけると
家の中へと足を踏み入れた。

「ママは?」

「キッチンでご飯を作ってるよ」

「そっか、ありがとう」

ゲオルグはキッチンへとその足を向けようとした。
が、後からその手を引かれ足を止める。
振り返るとヴィヴィオが不安そうな表情を浮かべてゲオルグの顔を見上げていた。

「どうした?」

「約束・・・覚えてるよね?」

「トレーニングのことだろ? もちろん覚えてるよ。
 そのため
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ