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アマガミという現実を楽しもう!
第8話:オリエンテーションキャンプ(1)
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の方向から刺すような視線が飛び込んでくる気はよくするがな。
 茶道部には、女子部員ばかりでどきまぎした。時間を見つけて茶道部の部室に足を運ぶと3年生のセミロングな髪をした女子生徒が座布団の上に正座していたのが見えた。「失礼します、1年生の遠野拓と申します。夕月さんと飛羽さんから話は伝わっているかもしれませんがこの度茶道部への入部を希望しましたので挨拶に参りました」と、入り口で伝えると、その3年生は腰を上げて部屋に上がるように言った。彼女は、3年生の山口亜弓先輩と名乗り、この茶道部の部長であることを述べた。山口先輩の顔と名前、それに年齢から、原作の梨穂子や夕月・飛羽ペアら輝日東高校の茶道部OGであることがその場で分かった。そして、彼女が夕月・飛羽の二人に面白い男子生徒のクラスメイトを連れて来いと指示を出したことを教えてくれた。その指示の出し方は、穏やかな顔には似つかわしくない「おしとやかではなかった方法」を取ったことを、右手を口に当てて恥ずかしそうに話してくれた。……原作の知識から、彼女は夕月・飛羽にとって全く頭の上がらない先輩だったはずだ、きっとこの人も何かあるんだろうな、と警戒しながら俺は山口先輩に注がれたお茶を頂いた。そのお茶は渋みも暖かさも俺にとってベストで、気がつかない間に美味しいと感想を漏らした。俺は、先輩を見た。先輩は、俺を見てニコニコしていた。




 それらのことがあって、今は5月のゴールデンウィークを過ぎた時期。始めての学校行事として、1年生全体のオリエンテーション合宿が企画されていた。そのため、皆で遠くに三泊四日することになり、いまこうしてバスに乗って宿泊施設まで移動している訳である。前世の俺は車に酔うという経験とは無縁であったが、遠野拓としての俺はあまり乗り物に強くなかった。それでこの体たらくであり、揺れるバスには金輪際乗りたくない、と思った。サービスエリアに着き、お手洗い付近のベンチに座り込む。別のバスに乗っていた知子や響が座り込んだ俺に近寄ってくる。


「たっくん、顔色が悪いけど大丈夫?」
「自動販売機で何か飲み物買ってこようか?」
「……大丈夫ではないかな。なるべく味が濃くない飲み物を頼むよ……」


 響は近くの自動販売機を見つけて俺の要望に見合った飲み物を探し始めた。知子は俺の横に腰を下ろして心配した顔をして俺を見ている。お手洗いを済ませた同窓生や同級生らは俺達の関係について酒の肴にしているのが見えたが、正直なところ、どうでもいいと思っていたので無視することにした。響が俺がよく買うスポーツドリンクを片手に少し早足で戻ってくる。俺は、響からタブの開けられたドリンクをゆっくり飲んだ。ドリンクの冷たさとのどごしで気分が少し良くなった。


「助かったよ、ありがとな。知子、響。」


と俺は
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