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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第77話 風の眷属
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 詳しい由来は判らない。しかし、その宝刀が纏う霊力は本物。おそらく、名の有る仙人の手に因る宝貝(パオペイ)で有るのは間違いない。

 振り下ろされる拳が神速ならば、振り抜かれた光輝……こちらは光速。

 一度目に。異界化した空間を破壊して侵入して来た直後の斬撃では完全に威力を殺す事の出来なかった龍の戦姫の一閃。
 しかし!
 今回は一閃のみにて終了する攻撃には非ず。完全に振り切られた宝刀が優美な弧を描いた後、右脇構えから再びの一閃!

 僅かな。一秒を千分の一、万分の一にも分割した刹那の間に放たれたふたつの光輝。
 そう。複雑に絡み合う精霊と彼女の霊気がその一撃に加速を与え、邪神の一撃に抗し得る必滅の破壊力を持ち、慣性、大気に因る抵抗すらも無効化する攻撃。
 これが神との戦い。

 そのスピードは明らかに龍の姫の斬撃の方が上。更に、威力不足は二の太刀で補われている。

 一太刀目の斬撃が霊気と光輝に昇華され、しかし、その事に因り威力の弱まった絶対零度の拳に、今度は二の太刀が正面から立ち向かう。
 そして!

 目を開けて居られないような閃光が周囲を包み込み、遙か上空より、遠雷とも、絶叫とも付かない神の言葉が世界に轟いた。

 高く掲げた右手の先に浮かぶ聖なる槍が、大気圏内に太陽の如き光輝を発生させた。
 身体中の血液が一気に沸騰し、周囲が俺の霊気の高まりにより歪みが発生する。
 絶対に俺一人では制御し切れない。……これ以上、高めて行けば、間違いなく暴走を始めた俺の能力が次元に穴を開け、すべての存在を呑み込む災厄と化す、正にそのギリギリの段階。

「神を屠れ」

 自然と口から発せられる禍言。その最中も高められた俺の霊気は聖槍へと集められ、

運命の槍(スピア・オブ・ディスティニー)!」



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