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木ノ葉の里の大食い少女
第一部
第二章 呪印という花を君に捧ぐ。
ジャシン
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「テンテン先輩――っ」
「テンテンはよく戦った。だが、あの風からは逃れられない」

 テンテンの体が遥か高みから落下する。静かに、ただ静かにネジはそう言った。はじめはその口調に、病気で死にかけていた母に向かって、安らかに眠れと語りかけていた父の姿を思い出した。ネジは多分、もうテンテンは戦わなくていいと思っているのだろう。こんな激しい攻撃を受けたあとではもう戦えるのかどうかもあやしいし、忍具と風での相性は、どちらにせよ最悪だから。

「つまらないな……ほんとに」

 落下したテンテンは、テマリの扇子のその真上に落下した。ぐったりとその上に倒れるテンテンを眺めてテマリが呟く。口元から血を吐いたテンテンは、びくりとも動かない。

「テンテンの武器攻撃を、完全に封じ込むとはな……!」
「こんな馬鹿な……!」

 だけど、どんなことも起こりうる、とマナは倒れた先輩の姿を見下ろし、やけに冷静に考えた。風対武器ではきっと風の方がいいはずなのに、それでも戦い続けたテンテンは、愚かでありながら勇敢で、強かった。よく戦ったと、マナも思う。ただ相性が悪すぎた。

「第五回戦勝者、テマリ」

 言った瞬間、テマリの口元がゆがんだ。やばい、そう叫んでリーは下へと身を躍らせる。テマリの腕がすばやく動き、扇子の上に落下したテンテンを、先ほど彼女自身が使用した武器の上へと投げ飛ばした。

「――ナイスキャッチ」

 そのテンテンを間一髪受け止めたリーに対して、微笑を交えつつ、一言。そんな彼女に対し、「何をするんです!」とリーは憤慨して怒鳴った。

「それが死力を尽くして戦った相手に、することですか!?」

 けれど死力を尽くして戦ったって、戦場では所詮他の者達に踏み潰されてしまうだけなのだとマナは思った。踏み潰すのは敵かもしれないし味方かもしれない。死力を尽くして戦った者に敵が敬意を示したとしても、そのほかの敵や味方がそれに敬意を示すとは限らない。

「うるせーな。とっととそのヘッポコを連れてけよ!」

 自分の先輩をヘッポコと嘲られては流石に腹も立つが、他人の試合には干渉しないほうがいいと感じてマナは口を噤んだ。それに相手は砂。変に挑発して国同士の問題に発展したら大変である。しかしリーはやはり、直情的だった。

「よせ、リー!」
「木ノ葉旋風ッ!!」

 ネジが叫んだが、それも耳には入らなかったようだった。放たれた蹴りはしかし、テマリの構えた扇子に受け止められてしまう。

「何ッ!?」
「見かけどおり、やっぱりアンタも鈍いんだなあ」
「なんだと……ッ」
「やめろリー!」

 怒りに我を忘れ、敬語を忘れかけたリーの近くにガイが着地して、制止の声をかけた。テマリがち、とでも言いたげな顔をする。

「っ先生!」
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