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空を駆ける姫御子
閑話2 〜日常の喧噪【暁 Ver】
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────── 誰も、彼女を責める事など出来ない




 あたし達の初出動が誰も怪我をする事なく無事に任務遂行となり、エリオとキャロが自信を付けたのは幸いだった。ついでに言うと二人がフェイトさんとより一層、親密になったのを微笑ましく思っていた頃。彼女の一言によって、あたしが満喫していた束の間の平穏は破られる事になった。




「ティアさん、ご相談があります」

 午後の訓練が終わり、あたしのお腹から引っ切りなしに鳥の鳴き声が聞こえてきた為に、あたしは食堂へと急いでいのだ。そんなあたしを彼女が呼び止めた。

「何? キャロ。あたしは、お腹にいる雛たちに餌をやらなきゃいけないの」

「アスナさんの事でお話があります」

「いけない。あたしはこれからヴィータ副隊長と『牛乳と胸の成長の因果関係』について話し合う予定があったわ」

「話を聞いてください」

 あたしは幸せが根刮(ねこそ)ぎ逃げていくような、盛大な溜息を吐いた。

「……アスナがおかしいって話しなら勘弁よ。(むし)ろおかしくないところを探すのが大変なのに。いやよ、そんな不毛な間違い探し」

「ご飯奢ります」

「さぁ、行きましょうか。何でも話してみなさい」

 この選択がそもそもの間違いだったのだ。昔からこの手の相談事で、しかもアスナ絡みと来ればトラブルしか舞い込んで来ない事は、スバルが買ったおみくじが悉く外れるのと同じくらいわかりきった事だったのに。





「ちょこぼを召喚するには、どうしたらいいですか」

 あたしは、頭を抱えたくなるのを何とか堪えた。キャロの小さな口から出てきたのは意味不明な文章だったからだ。なんと答えたものか暫し頭を捻ったが、捻ったところで出てくる答えは一緒だという事に気付き、至極真っ当な答えを返した。

「知らないわ」

 訪れる沈黙。相手がスバルやアスナであれば、これ以上ないほど完璧な返答且つ妥当な答えだと思うが、キャロには少々酷だったようだ。取り敢えず話を進めようと考え、あたしは曖昧な笑顔を浮かべたまま、次の質問をした。

「ちょこぼって何?」

「わかりません」

 あたしは今度こそ我慢する事なく頭を抱えた。キャロの答えは簡潔すぎるほど簡単で、それ故に意味がわからなかった。だがこの程度で投げ出してしまうほど、あたしは甘くはないのだ。アスナとの長い付き合いは伊達ではないのだから。何せ毎日が終わりの見えない、我慢大会のようなものだ。しかも、優勝したところで賞金が出るわけでも、誰かが褒めてくれるわけでもない。最悪だ。

 あたしは米噛みを揉み解しながら話を進めようと、試みる。

「どうして、そんな話になったのか教えてくれる?」

 キャロは幾分眉を寄せ
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