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チートだと思ったら・・・・・・
二十話
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ん、な」

「例えるなら、時間とは一本の道だとしよう。本来、人は自分が生まれた時に乗っていた道の上しか進めない。そして、それは一方通行だ。だが、タイムマシンがあるならば話は変わってくる。これを使えば、本来戻れぬはずの道を戻る事が出来るんだ」

一同の顔に暗い影が刺す中、健二の話は続いていく。

「だが、道を戻った所で今まで進んでいた道がなくなったわけじゃない。当たり前だ。その道は自分だけではなく、世界中の人が一緒に乗っている道なんだから。あくまで、戻ったのは自分だけ。そして、時を遡った異分子がいる世界が、同様の道を紡ぐはずがない。ならばどうなるのか……答えは簡単。生まれるんだよ新たな道が。何もかもが元を同じくするけど、過去を遡った人物がいるという世界がな」

「おい、それって」

「平行世界……パラレルワールド」

やはりその単語に行きついたのは千雨とハルナ。他にも数名がその単語を聞きイメージを確たるものとした。

「そうだな、過去に戻るという行為は似ているけど決定的に違う世界を生み出すってことなんだ」

いきなり平行世界だの、パラレルワードだの言われ納得できるものなのか……そう健二は微かに思ったが、その心配は杞憂だったようだ。こうも暗く沈んだ顔を見せられれば、健二の言葉が大きく影響を与えていると察せずにはいられない。

「だから、言いたくなかった。言ってしまえば、決意が鈍る。過去に戻るってことは、今この時点まで共にすごしてきた人たちと永遠に分かれると言うことなのだから」

そう、過去に戻ればその時点で全てが元を同じとするが別のモノへと変貌する。共に遊んだことも、ケンカしたことも、同じ記憶を持っていようとやはり別のモノなのだ。

「……時間がない。全てに別れを告げ、超を止めに行くのか。それとも、残るのか……決めてくれ」

中心へと向かって失せてくる魔力の光を目に止めながら、健二は宣告を下した。





皆は結論を下した。過去に戻り、超を止めることを。元より、何名かは既にタイムマシンを使ってしまっているのだ。これは、当然の結論だったのかもしれない。
だが、皆の心に大きな傷を残したことだけは確かだった。
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