第四章
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「いや、名案でしたね」
「二人を分けたことはですね」
「はい、よかったです」
こう言うのだった、佐藤さんに。
「別居も一つの手ですからね」
「そうですね、あまりいいイメージはないですけれど」
佐藤さん的にはそうだ、佐藤さんは夫婦は一緒にいてこそだと思っている。これは佐藤さんが単身赴任だから余計にそう考えるのだろうか。
「あれもですね」
「はい、一つの手ですね」
「ですね、まあとにかく」
佐藤さんもほっとした顔で大家さんに言った、言えたと言うべきか。
「これでアパートに平和が戻りました」
「いいことですね」
こう話す二人だった、誰もがこの時点ではほっとしていた。
しかし暫くしてだ、まずは旦那さんの方から大家さんに言って来た。
「あの、出来ればですね」
「何かあったんですか?」
「あいつと一緒にいたいんですけれど」
こう言って来たのだった。
「いいですかね」
「一緒にですか」
「はい、そうです」
こう言うのだった、それも心から頼むといった顔で。
「よりを戻したいっていうか」
「あの、ですが」
「わかってます、それはですね」
「はい、折角喧嘩しなくなったのに」」
顔を見合わせなくなったことによってだ。
「それでもですか」
「何かね、部屋にいる時は」
つまり仕事の時以外はというのだ。
「あいつの顔を見ていないと」
「お嫌ですか」
「しっくりいかないんですよ」
こう言うのだった。
「調子が出ないんですよ」
「けれど一緒にいたら」
「まあそうですけれどね」
旦那さんの方もこのことは否定しなかった、実際に喧嘩ばかりしてきたからだ。
だがそれでもだとだ、旦那さんは言うのだ。
「一緒にいないと」
「そうですか」
「はい、調子が出ないです」
またこう言うのだった。
「ですから」
「一緒にですか」
「そうしてくれますか?」
旦那さんはかなり切実な顔で大家さんに言う。
「どうか」
ですがそれでも」
大家さんは難しい顔で旦那さんに返した。
「奥さんと顔を見合わせれば」
「喧嘩になるっていうんですね」
「本当にいつもだったじゃないですか」
彼が言うのはこのことだった。
「dえすからどうも」
「いや、それでもです」
どうしてもだとだ、また言う旦那さんだった。
「あいつと一緒に部屋にいていいですか?」
「まあ強制ではないですし」
元々そうではない、幾ら何でも大家さんとはいえ他人が別居を矯正するのも法律として問題がありそうだ、だからだった。
大家さんもだ、旦那さんがそう言うのならだった。
「奥さんと話をして決めて下さい」
「じゃあそうしますね」
「奥さんさえいいって言えば」
大家さんはこう言って同居に戻ることを条件付きでよ
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