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Element Magic Trinity
空に戻れない星
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けた。

「アンタが何者かなんて知らない。だけれど、アンタが何らかの理由でもうすぐ寿命で、そして・・・『人間ではない』事」
「っ!」
「私が知っているのはこれだけ」

冷めた口調でそう言い放つ。
すると、ティアは躊躇うように瞳を揺らし、少しして口を開いた。

「・・・ねぇ」
「何だい?」
「私の裏に回ってくれるかしら?」
「?いいけど・・・」

意味不明なティアの言葉に、ロキは立ち上がりティアの後姿が見える位置に立つ。
それを確認したティアは、湿ってほぼストレート状態になった髪を持ち上げた。
そして『それ』を見たロキは目を見開く。

「これは・・・」
「それ以上は禁句よ。意識を失いたくなかったら言わない事ね」

意識を失いたくはないので、ロキは何も言わない。

「取り引き、しましょう」
「取り引き?」
「そう」

ティアは頷くと、ショルダーバックから白い紙1枚とペンを取り出した。

「アンタは自分が死にかけているというのに誰にも助けを求めない。それは助かりたくないから・・・違う?」

ロキは答えない。
が、小さく首を縦に動かした。

「だったら私はアンタを助けない」
「え?」
「それがアンタの願いなら、最後くらいは叶えてあげる。もちろん、ギルドの誰かがアンタを助けない様に、アンタが人間ではない事は誰にも言わない。言ったらアイツ等の事だし、国中走り回ってアンタを探すわ」

確かに、とロキは思った。
彼女はギルドにいる年月が自分より明らかに長い。
だからこそ、自分の属すギルドがどんなギルドか、その魔導士はどういう奴か、誰よりも知っているのだ。

「私がアンタの事を言わない限り・・・まぁ、アンタは死ぬ前にギルドを抜けると言うだろうから奴等は動くでしょうけど・・・誰もアンタのトコへは辿りつけない」

ロキは少し驚いた。
彼女は自分が何者かを知らない・・・だが、その口調はまるで『僕がどこで死ぬかを知っているよう』で。

「・・・それで?僕に何をしろと?」
「さっき見た『あれ』の事を黙っていなさい」

あれ、と言われて一瞬戸惑ったが、すぐに理解できた。

「それだけでいいのかい?」
「えぇ。どう?お互いの為になる取り引きだと思うけど」

ティアの目がキラッと煌めく。
ロキは少し考え、微笑んだ。

「いいよ。取り引き成立だ」

ロキの答えが満足なようで、ティアは口元を緩める。

「そう・・・それじゃ、私は部屋に戻るから」
「待って」

呼びとめられ、ティアは足を止める。

「君・・・もしかして僕が何者か、解ってるんじゃ」
「さぁ?一体何の事かしらね」

ロキの問いに肩を竦め、ティアは酒処を後にした。









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