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僕と謎の電波少女
2.同居始めました。
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小春と出会ったあとは大変だった。
いつまでもここにいさせるわけにはいかないから、さっそく自分の家へ案内した。

「小春、料理は出来るかい?」
「料理、ですか?うーん…、出来るは出来るんですけど…」
「そうか。じゃあ、冷蔵庫の中にいろいろあるから、自分で作って食べてくれ。」
「わかりました。ですが、征十郎の家には"アレ"があるのですか?」
「"アレ"?」
「宇宙人が食べる、ペキニアル魚です。」
「…なんだそれは。」

ペキニアル魚…
僕でもしらない名前の魚だ。
宇宙人、と言うのはスルーしておこう。
小春が首をかしげる。

「言葉で表すのは難しいですね…。えっと、外見はヌメヌメしていて、眼がとーっても大きくてぎょろっとしてるんです!」

まぁ、ここまでは普通の魚にもいるだろう。こう、ヌメヌメでぎょろっとしたような眼の……
問題はここからだった。

「それで、手と足が生えていて自分で歩くんです!だから「ちょっと待て」

おい。
どうして平気な顔をして話している。
既に僕の頭の中にはグロテスクな魚が完成しているのだが。

「そんなものあるわけないだろう。小春、頭を打ったか?」
「う、打ってなですよ!宇宙界にはいました。とても可愛らしくて私、大好きなんですっ」

小春が興奮気味に話をするが、僕には到底理解できなかった。

「残念だが、僕の家にはペキニアル魚はいない。君は人間なんだから他のものも食べられるだろ?」
「はい。宇宙人ですが、食べられます!」

食べられるのか。
だったら最初からいってくれ。

「…あそこにパンとかお菓子とかがあるから、腹が減ったら食べろ。」
「わかりました!ありがとうございますっ!」
「勝手なことはするなよ。」
「充分承知しております!」
「電話とか誰かきても無視するんだぞ。」
「大丈夫です!」

ビシッと敬礼のポーズを決める小春。
水色の長い髪の毛が揺れる。

「じゃあ、いってくるよ。」
「どこにですか?」
「………」
「そ、そんな目で見ないでくださいっ!」

こいつ、僕をイラつかせるのが得意なのか?
人間なんだよな?
この時間に家を出るということは学校しかないだろう。
記憶喪失なのか?
ただ単にバカなのか?
おそらく、後者だろう。

「学校だよ。知らないの?」
「"学校"…。初めて聞きました。宇宙界にはなかったので…。」
「…そう。」

宇宙人・宇宙界
さっきから気になるな。このワード。
ほんとに宇宙人なのか?

「…とりあえずいってきます。」
「はい!いってらっしゃいませ!」

考えるのがめんどくさくなった僕は小春を残して家を出る。
ニコニコ笑って送り出してくれた小春が、なんだかまぶしかった。

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