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真・恋姫†無双~現代若人の歩み、佇み~
第三章:蒼天は黄巾を平らげること その4
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 天幕の下の切れ目より、僅かに日の出前の太陽の光が差し込む。その眩さに目を細めながらのっそりと、仁ノ助は起き上がった。何の衣類も着けられておらず、薄い布団がその逞しき体を隠すのみであった。
 仁ノ助は小さく欠伸を漏らしながら、隣で気持ちよさ気に眠る女性を見る。この女性が昨晩から数刻に渡って、自分の体に組み伏せられて快楽のために喘いでいた事が記憶に新しい。最後に男を受け入れてから数年は経っていると言う彼女の体は、彼の欲望を受け入れたときに違和感を感じるほどであった。しかし人生で初めて味わう女性の躰に自制が利かなくなった彼は、獣欲と本能が滾るままに彼女を強引に攻め立てた。
 瑞々しさを未だ失くさぬ女性の躰は久方ぶりの雄の臭いで火照り、情交の滴りをさらに妖艶なものとし、彼の攻めをより激しくするよう触発した。よく見ると、情事の残滓が彼女の美しい裸体に付着しており、饐えたような匂いを放ちながら乾いていた。発情しきった雌として雄をいきり立たせたこの女性、孫堅はその行為の最中、ずっと自らの名前を呼んでいた事が思い起こされる。その魅惑的な声色を聞けば、男であればそそられるものを感じずにはいられなかった。

(それにしても・・・ダルいなぁ)

 どうにも身体の節々に凝りのようなものを感じてしまう。寝違えた訳では無い。ただ単に、昨晩は頑張り過ぎただけであった。
 自分のだらしなさに呆れるようなものを覚えながら、仁ノ助は改めて孫堅を見詰めた。記憶に残る現代的な知識によれば、彼女はこれから皇甫嵩軍と別れて、別方面へと向かう筈であった。何処に向かうかについてはわざわざ記憶を頼らずとも、直近の周辺地域の情勢から推測できる。

(確か・・・宛っていう場所だっけ)

 史実では、この後孫堅は宛城攻略戦に参加し、これの落城に大きく貢献する事となる。包囲戦から一転し、一気呵成の攻撃を行うのである。後に知る由となるが、この攻勢は大勝利によって飾られる事となった。
 敵の大将である趙弘は包囲戦の初戦にて斬り捨てられてしまい、新たに韓忠が将軍となって篭城した。これに対して官軍はニ正面作戦を敢行、一方の部隊によて賊の注意を引き寄せ、もう一方に精鋭を集めて一気に城内に突撃する戦術を取ろうとする。補給線遮断・包囲戦の構えで、逃げた賊も徹底的に叩き潰さんとしたのだ。だがこれに対して孫堅が『拙速である』と反発し、孫策・黄蓋などというありえないほどに武力の高い者達を従えて、反対を述べたその日のうちに敵城を陥落させてしまうのである。彼女等勇将にとって人員の数的優位とは、地の利とは何なのであろうか。
 
(まぁ、人の心配なんてしてないで、俺も自分の事を考えなくちゃ。これから広宗に行くんだから)

 自らがこれから向かう先に待ち受けるであろう大量の賊軍を想像して、仁ノ助は心中穏
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