GGO編ーファントム・バレット編ー
59.激戦
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キリトがひとり洞窟から出ていってから洞窟の中には、二人の少し息を切らした呼吸音だけが空気の流れを振動させる。
「ねぇ、シュウ」
不意に隣にいる巨大なライフルを抱えている水色のショートヘアの少女が口を開く。
「あなたも.....《SAO生還者》なのよね」
「ああ、そうだよ」
どうやら俺が気絶している間にキリトからある程度の事情は聞いたようだ。まぁ、さしずめSAOのことと、ラフコフのことであろう。
また沈黙となるがすぐにシノンがその間を埋める。
「あなたも.......その......」
言葉を濁らせる。なんとなくだが、シノンが言いたいことがわかる。ラフコフの話をキリトが切り出した時点で、あの最悪の事件を話さないわけがない。ラフィン・コフィン討伐戦のことを.....。
俺は、言葉を濁らせるシノンの言葉の続きを自ら口にする。
「......殺したよ」
二、三度瞬きした後、シノンは顔をこちらから背ける。それでも俺は話を続けた。
「何人......いや何十人殺したかも憶えてないくらい俺は殺した。あの夜だって俺は、牢獄に送るはずだった計画だったのに混戦になった瞬間.....俺は.....何もかも我を忘れて二人を殺めた」
今思い出しても恐怖は消えることがない。人を殺めたという恐怖とあいつらの殺意をまじかに感じた恐怖が今でも消えない。
体が震え出す。すると震える手に優しく温かな感触が包み込む。
「あなたも.....乗り越えられてないの?」
「乗り越えられてないどころか......引きずり続けてる。......何もかもな」
俺は、何も乗り越えられていない。自分が人を殺めたことも、大切な人を守れなかったことも、心を許した仲間を守れなかったことも何もかもな。
「だから俺は、あいつを止めるんだ。少しでも乗り越えれるように」
自分勝手な理由を口にした。だが、シノンは俺の眼をしっかり見て聞いてくれる。
「......ありがとな、シノン」
「ううん。シュウこそありがとう」
シノンといると自然と安心していられる。スグといる時と同じ安心感がある。こんな人殺しの俺を受け入れてくれる少女たちがいるからこそ俺は今でも息をしていられるのだろう。
すると洞窟の中に侵入してくる足音に俺とシノンが武器を取り出そうとするが、薄闇の中入ってきた姿にすぐに武器から手を離す。
「どうだった!?状況は!?」
長い黒髪を揺らしながら、外から戻ってきたキリトに少し興奮したような声を出すシノンに簡潔な説明をする。
「スキャン最中にも二人相打ちで退場して、残りは恐らく五人だ。君、俺、シュウ、《闇風》、そして画面に映らない二人の《死銃》。闇風は、ここから六キロ南西。死
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