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紅き微熱と黒き蓮華
第三話
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出した。

「あー、行っちゃったわ。…まあ、授業の間のユウについての対処を考えあぐねていたから行かせたのは良かったわ」


キュルケが教室に入ると先に来ていた何人かが、彼女を見て囁き始めた。

「見て、ミス・ツェルプストーよ。使い魔はどうしたのかしら?」

「ホントだわ。きっと私たちには恥ずかしくて見せられないのよ」

「トライアングルだと言うのに、とんだお笑い草だわ」

「所詮は、ゲルマニアということかしらね」

トリステインとゲルマニア、国家間の問題に発展する可能性があるため、彼女達は決して表立ってバカにしない。
しかし、その声はキュルケの耳に届いていた。
クスクスと笑い合う生徒たちに内心腹が立ったが、そんなことはおくびにも出さず、聞こえていない振りをした。

やがて、ルイズと才人が入室したが、クスクスと笑う程度に留まっていた。

ルイズとキュルケ。同じ平民の使い魔を召喚した者でも、そこには明確な違いがあった。
ルイズはトリステインの貴族に対し、キュルケはゲルマニアの貴族だ。
当然ルイズには身内の贔屓目というものがあるが、留学生のキュルケにはそれがない。
ただでさえ、野蛮と揶揄される事が多いゲルマニア出身なので、つけ入る隙を見せる訳にはいかず、常に結果を示さなければならなかった。
そして、今回のサモン・サーヴァントである。ここで神田を召喚したことはキュルケにとって非常に拙く、そこを突かれてしまった。

(先程の食堂同様、私と行動を共にしないで正解だったわ。所詮は短期間の契約…彼が嫌な思いをする道理はないもの)

ミセス・シュヴルーズがやってくるまでの間、キュルケは誰とも話すことはなかった。

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