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第六十七話 立ち塞がる者
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「はぁ、はぁ、はぁ・・・」

オフホワイトの直線的な通路に一人の少女の荒い息が響きわたる。膝を地面に突きながらも、身にまとっている衣服がぼろぼろになっている事にも目をくれず必死で息を整えようとしているが、なかなか思うように行かない。

「もう諦めなさいな。これ以上は無駄でしかないわよ」

息を整えようとしている少女に向かい合っているスーツを着た女性からそんな声が放たれる。だが、その声に耳もくれず少女は笑う膝に力を入れ持っていた刀を杖代わりにしてまでスーツの女性に対峙する。

「はぁ、はぁ、はぁ・・・そ、それでも・・・諦める、わけには・・・はぁ、行きま、せん!」

「そっか。じゃあ、もう少し遊んであげるよ、ルナちゃん」



時が遡ること数十分前。ルナとアスナは恐ろしく太い≪世界樹≫の枝に刻まれている通路を警戒しながら歩いていた。

「さすがにこういうところにモンスターはでないと思うんだけどねー」

「でも何が起こるかわからないじゃない」

「まぁ、そうなんだけどさー」

そう言いながらルナは真っ赤に輝く太陽の方をみると小鳥が精緻な模様が彫り込まれた若芽でできた天然の手すりにとまって鳴いていた。
なぜ破壊不能オブジェクトとなっている黄金の鳥籠に捕らわれているはずの二人がこのようなことをしているのかというと、アスナがこの企てを立てた張本人――妖精王オベイロンこと須郷伸之――から苦労して鳥籠の開錠番号を読みとったのだ。

「あんな典型的な小悪党、初めて見たよ。脱出されたときのこととか考えないのかな?」

歩きながらルナが素直な感想を口にする。それに対してどう反応をしていいのかわからないアスナ。この世に絶対という事象はなく、必ず何かしらの不測の事態が起こることが常である。現に鳥籠から抜けられないと思っているであろう須郷の考えは本人の知らないところで覆されている。

「もう少し慎重になってもいいと思うんだけどねー」

傲慢な人間には耳の痛い言葉であった。樹の枝の道を歩いていくと、程なくして人工的な長方形のドアが見えてきた。ファンタジー感が強かった今までの場所と明らかに違うもの。ルナとアスナは互いに頷きあうと、タッチパネルらしきプレートにアスナがふれる。すると、長方形のドアがスライドした。中に人がいないか気配を探ると、ルナが先に体を滑り込ませ安全を確認した後アスナが気配を潜めながらルナの後を追う。
ドアをくぐった先はオフホワイトの直線的な通路だった。壁は無機質でオレンジ色の証明が所々を照らしている。それを見据えるルナに先ほどのような雰囲気はなく、感覚を尖らせ真剣な表情がまとう雰囲気は剣士のそれだった。

「アスナ」

「うん」

頷きあうと二人は警戒しながら歩を進める。ドアも何もない通路だがど
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