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銀河英雄伝説 アンドロイド達が見た魔術師
ヴァンフリート星域会戦 その二
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フェザーンを利用しなくても確認できていた。
 で、話題のシュターデン提督自身はコーディネーターではないのだが、コーディネーターに人類の未来を見たらしく、それに関する論文などを発表している。
 なお、そのコーディネーター優先主義の大本は、

「人類は、優れたコーディネーターである帝国貴族によって管理運営されるべきである!」

 と、呼ばれる主張によって立脚・構成されているのだが、その大元がよりにもよって人形師が名前を変えてフェザーン経由で流したのを知っているのは緑髪の彼女たちだけ。
 話がそれたが、シュターデン提督の主張はドロイドを主体とする無人化の推奨とコーディネーターによる管理の省力化であり、基本人間を信用できない帝国貴族達からの支持によって実験を兼ねた艦隊が与えられたのである。
 
「だとしたら、馬鹿ですね。彼。
 この理論の危険性に気づいていないんでしょうか?」

「気づいても無視しているかもしれないよ。
 何しろ帝国貴族は人を信用していないからね。
 貴族の私兵ぐらいならば、彼の理論でも問題はないさ」

 この手の議論は既に同盟では結論が出ている話である。
 というか、考案した人形師自身がこの案を真っ先に否定したのだから、緑髪の副官の馬鹿発言に繋がっている。
 ヤンは緑髪の副官よりもう少し人間というものを知っていたから、馬鹿にするより同情を感じてしまったのだが。

「偵察隊。敵艦隊を確認!
 敵偵察隊と戦闘を開始しました!」

「偵察隊との戦闘データを回してくれ」

「モニターに出します」

 ヤンの指示でオペレーターが偵察隊の交戦データを映し出す。
 そこに映し出されていたのは、画一的な動きをする敵艦隊の姿だった。

「司令部より入電。
 全艦電子戦の準備をされたし」

「副長に連絡。
 サブシステムの立ち上げ準備を」

「了解」

 次々と情報が入り、それに対する指示を出していたヤンに副官が声をかける。
 確認の為だが、ヤンも指示が終わった後に副官の質問に答えた。

「艦長。
 艦長は『もっともやっかいなのは、敵が出てこない事』とおっしゃっていました。
 今回の敵の全力出撃を艦長はどう評価なさいますか?」

「そうだね。
 ただの馬鹿でないならば、『実験艦隊の功績を立てたい』あたりが妥当な線じゃないかな」

 その考察は的をついていた。


 戦いは、同盟軍12000隻、帝国軍15000隻によって始められた。
 数で優位にたっている帝国軍は中央・右翼・左翼の三つの集団を作り上方と下方にも艦を広げて同盟軍を包囲しようとする。
 一方の同盟軍は中央に艦隊母艦とシールド艦を集中配備し、敵の包囲攻撃に対する防御を固めながらゆっくりと後退する。


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