暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜生まれ変わりのアレス〜
VSマクワイルド
[2/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
アレスがいる。
 こちらに背を向けて、いまだ気づいてはいないようだ。

 同級生の挨拶もそこそこに、ライナはアレスに近づく。
 三メートルも近づけば、アレスは気配に気づいて振り返った。
 目つき悪く睨まれた。
 おそらくは好かれてはいないのだろう。

 当然と思いながらも、少し寂しい。
 それでも表情には見せず、ライナは声を出した。
「お久しぶりですね、マクワイルド先輩」

「あーと。フォークと同じチームだった」
「ライナです。ライナ・フェアラート」
 ライナは自分の胸に手をおいて名前を名乗った。
「ああ、俺はアレス・マクワイルド。と、名乗らなくても知っていたね」

「ええ。烈火のアレスの名前は有名ですから」
「名前負けしてなければいいけどね」
 悪戯気に笑い、そう肩をすくめたアレスに、ライナは静かに頭を下げた。
「先日は失礼しました」

「なぜ?」
「わざととはいえ、失礼なことを言ってしまいましたので」
「正直だな、おい」
 アレスが呟けば、周囲から小さく笑いが起こった。
 いつの間にかアレスを囲むように、チームのメンバーが集まってきている。

 随分と仲が良い。
 少なくとも訓練終了後に、すぐに別れる自らのチームからは考えられないことだった。
「ま、気にしてないさ。で、何か用でも?」
「……」

 と、強い視線がライナを捉える。
 思わず黙ったライナに、アレスが怪訝そうに眉をひそめた。
 どういえばいいのか、迷うライナの背後から笑い声が聞こえた。
「マクワイルド先輩は目つきが悪いんですから、恐がっちゃいますよ」

「目つきは生まれつきだけどな」
 憮然とアレスが答えれば、再び笑いが起こった。
「まったく士官学校には碌な後輩がいないな。俺はもっと素直だった」
「アレス先輩の先輩方が聞いてたら、怒鳴りこんできそうな言葉ですね」
「サミュール。お前は何か、俺を誤解していないか?」

「リシャールから聞いたことを言っているだけですよ」
 くすりと笑う言葉に、ライナは背後から声をかけた人物の名前を知る。
 セラン・サミュール。

 三学年まで学年主席をキープしており、今年こそテイスティアに抜かれてしまったが、その差は極僅か。この大会の結果次第では、再び学年主席に戻ることになるだろう。
 強いはずだと理解して、同時に彼すらも簡単にあしらっていたことにライナは驚いた。
 驚きは自然と言葉となり、声が出た。

「マクワイルド先輩。今から私と戦っていただけませんか」
 と。
 ライナの唐突な挑戦状に、周囲が笑みをやめて、驚いたようにライナを見ている。
 集中する視線を無視して、ライナの銀色の瞳はただアレスを捉えていた。

 笑われるだろうか。
 感じた不安は
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ