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ゲルググSEED DESTINY
第六十二話 少ない望み
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「では、そちらは交渉の席に着く気はないと?」

正面に映る映像を前にデュランダル議長は悠然とした様子で相手に対し、お互いの平和の為に会談を開かないのかと確認を取る。

『当たり前だろう。そのような計画をいきなり発言した所でこちらがただで受け入れると思っているのか!』

(だから君は小物なのだよ、ある意味ブルーノ・アズラエル以上のね――――ジョゼフ・コープランド)

寧ろ会談を受け入れないというのはこちらにとって有利な条件だ。既に部隊の準備は整い、世論は味方となり、そして多くの手札を持つこの状況。一方で向こうの切れるカードはそれこそ今申し出を断っているこの会談か、或いはアルザッヘルの連合部隊位しかない。しかも、それらの中身をこちらは透けて見える状態だ。
既にデュランダルの思惑通りに事は進んでいる。この政策を推し進め、賛同者を大勢集めるために世論を味方に付けた。有史以来、世界を創りかえてきたのはその多くが中層階級の人間である。貴族制が崩壊したのも社会主義が生まれたのも奴隷制が解放されたのも多少の余裕を持った階層の人間によるものだ。
故にデュランダルはそういった民衆の力というものを理解している。だからこそ、そういった階層の人間をロゴスを討つという名目によって味方につけ、恩を売り、そうそう裏切らない立場へと変化させた。

「それは非常に残念なことだ。我々は平和の為に共に手を取るべきだと私は思っているのだがね」

『何を白々しい――――貴様のそのふざけた野望で世界が本気で救われるとでも思っているのか』

良くも悪くも逸脱していない上に保守的な人間であるジョゼフはデュランダルの考えに賛同することなどほぼありえない。

「では、連合は我々ザフトに対して戦争を継続すると、そういう意見で相違ないかね?」

『ああ、その通りだ。悪いがデスティニープランとやらを実行しようというのならプラント内だけでやってくれたまえ!』

そう言って、ジョゼフは通信を一方的に切断し、デュランダルとの会話を終える。その様子を黙って見ていたクラウにデュランダルは語り掛ける。

「さて、待たせてすまなかったと言うべきかね――――首尾はどうなっている?」

「まあ一応は全部完了したんじゃないでしょうか?それにしても、ここまで準備する必要があるのですかね?」

資料を手元に用意して作業の報告書を纏めた彼、クラウ・ハーケンはデュランダル議長に命令された仕事をこなし、彼に報告に来ていた。
機体データ、部隊の編制や配置、戦略兵器の現時点での様子、敵の動き――――様々なデータが用意されている。無論、これらが総てクラウの手によって用意されたわけではない。寧ろクラウが関わっているといえるのは機体データ位のものだろう。あくまでも彼は報告役を指名されただけの話である
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