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銀河英雄伝説〜悪夢編
第三十九話 赤かったから吃驚したよ
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れないな。お前達は心の中で俺を恨み、捕虜達に悪態をつきながらも表面では笑顔を浮かべながら俺に感謝するはずだ。俺は誠実さと慈悲深さを表面に出しつつ心の中でお前達を嗤ってやる。楽しいよなあ、本当に楽しい。

最近心の中がどす黒く、いや闇色になってきたような気がする。多分、気のせいじゃ無いだろうと思う。マントも黒だしブリュンヒルトも黒にした、心が闇色になったっておかしくないさ。血だって黒ずんでいるだろう、ラズベリー色だ。そのうち変なマスクをかぶって不気味な呼吸音を立てるようになるかもしれない。それも悪くない……。

同盟軍が帝国領侵攻を諦めた以上、ガイエスブルク要塞の攻略を急ぐ必要は無い。無理攻めすれば不必要な損害が増えるだけだ。包囲して向こうの戦意が萎えるのを待とう。あれ以降、あの二人には連絡を取っていない。向こうからも連絡は来ない。だがアンスバッハ、シュトライトの二人は必ずブラウンシュバイク公を説得すると言明した。実際抗戦して滅ぶよりも降伏する方がメリットは多い。

あの二人を信じて降伏してくるのを待つ。あと二日待ってそれでも返事が無ければ一度連絡をしてみよう。もしかすると例の件で手間取っているのかもしれない。あれが上手く行くかどうかはアンスバッハ達にとっても重要な筈だ。上手くやってくれればいいのだが……。

アンネローゼからビデオレターが届いた。あの会戦の前に作られた物らしい、レンテンベルク要塞攻略の事には触れていたがあの会戦の事には何も触れていなかった。元気でやっていると言っていたな。足の具合はどうかと俺の事を心配していた……。

俺は大丈夫だ。ブリュンヒルトの中では指揮官席に座っているからな、それほど疲れる事は無い。だがなあ、多分お前はラインハルトとキルヒアイスの事が心配なんだろう。レターでは触れていないが心配な筈だ。俺に迷惑をかけてるんじゃないかと……。

二人にもビデオレターを送っているんだろうな。俺に迷惑をかけるな、ちゃんと仕事をしろ、そんな事を言っているんだろう。残念だがアンネローゼ、お前の心配は杞憂じゃない、ラインハルトとキルヒアイスは総司令部に全く溶け込んでいない。いや溶け込もうとしない。だから周囲から信頼されずに浮きまくっている。

今のままじゃ俺との縁故で総司令部に入った、そう周囲から見られるだけだろう。根本的に幕僚勤務とか向いていないんだな。周囲との間に最低限必要な信頼関係を築けない。だから周囲はどう接して良いか分からずに困惑している。メックリンガーも持余し気味だ。結局は艦隊指揮官でしか使えないという事なのだろうな……。

シュタインメッツが同盟軍に対して勝利を収めたと報告が有った時も少しも喜んでいなかった。周囲が歓声を上げたのにあの二人だけ反応しなかった。俺に反感を持つのは腹立たしいが理解出来なくもない
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