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剣の丘に花は咲く 
第十章 イーヴァルディの勇者
第一話 少女の名前 
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「はぁ〜……確かにこれは凄いわね」
「ふふんっ、凄いでしょ」

 周りを見渡したルイズが、思わずといったように感嘆の声を漏らす。それを横目で見ていた隣に立つキュルケが、その大きな胸を張って得意げに鼻を鳴らすと、眉を顰めたルイズが睨み上げる。

「何であんたが威張るのよ」
「いいじゃない。『オストラント号』はコルベール先生がいなければ生まれなかったけど、ゲルマニアとツェルプストー家の力もなければ出来なかったからよ」

 ルイズとキュルケがぐるりと周りを見渡す。広々とした甲板の姿が目に入る。ルイズとキュルケたちは今、巨大な船『オストラント号』の甲板の上にあった。甲板には他にも大勢の生徒が甲板の上を駆け回って何やら騒いでいる。

「やっぱり大きな翼ね」

 『オストラント号』の甲板から伸びる翼は、通常の船の三倍はあるだろう。その巨大な翼を支えるため、支柱には木材ではなく鉄のパイプを使用されていた。百メートルを超える巨大な鉄パイプ。それも翼を支えられるだけの強度と歪みがない鉄パイプを作る冶金技術は、トリステインでは作ることはできない。出来るのは、冶金技術に優れたゲルマニアにしかなかった。そして、この巨大な船を作れるだけの資金をポンッと出せるだけの資産を持つツェルプストー家の力。
 キュルケの言葉の通り、この『オストラント号』は、コルベールの知識、ゲルマニアの冶金技術、ツェルプストー家の資金の三つがそろって始めて生まれたのだった。

「まあ、翼はともかくそれ以外はコルベール先生抜きでは出来ないわね。出来たとしても作れるのは外側だけで、中身はさっぱりみたいだから」
 
 お手上げと言うように肩を竦めてみせるキュルケ。
 例えば、翼の丁度中間にある巨大なプロペラに設置された機関室。コルベールが以前授業で見せた『愉快なヘビくん』を雛形に誕生したハルケギニア発の『水蒸気機関』であった。ゲルマニアは、設計図通りに『水蒸気機関』作り上げることはできるが、その機能を理解することは出来ない。なので、例えゲルマニアが新たな『オストラント号』を作り上げようとしても、形だけが同じのハリボテが出来るだけ。『水蒸気機関』を全て把握するコルベールの指揮の下でしか、『水蒸気機関』―――『オストラント号』は出来ない。
 
「……ま、まあ、でも、確かにあんたの言う通り、ゲルマニアの冶金技術がなければそもそも形にならなかったし」
「ん? ふ〜ん、ま、ありがと」

 そっぽを向きながらぼそりと呟いたルイズの声に、キュルケはニヤリと笑みを返す。

「って、そう言えばあなた誘拐されかけたって聞いたけど。……見たところ大丈夫だったみたいね」
「……お陰様でって言いたいところだけど、実際のところ何がおこったのかわかんないのよ……寝ていた間に全部終わっちゃってたか
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