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弱者の足掻き
八話 「補殺」
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 木々生茂る森の中、絶えず体を動かす。
 今日も今日とて、俺は白と一緒に鍛錬をしている。
 この国に来てから既に一年半近く経った。その間、時間を決めて鍛錬を続けて行った。
 時間と共に技量も上がった。俺はほどほどの速さで、白は急速な速さで。
 そうしてまた今日も修行をしている。




 こちらの喉へ向かい抜き手が放たれる。
 それを横から叩き軌道を逸らす。同時、払った手でそのまま手首を握り外側に向け捻り上げる。
 勢いのまま腕を伸ばさせ、肩を決めようと前に一歩踏み込もうとしたところで相手の肘が跳ね上がる。

「??っ」

 捻る動きに合わせられたのだ。
 全身を動かす勢いのまま、抉る様な肘が腕を捻る勢いも追加され顎を狙う。
 ぴったりと合わされただけに前に踏み込もうとしていた体は完全にはよけきれない。急激に重心を後ろに動かしつつのけぞる様にして体をねじらせる。
 狙いが外れた相手の肘が顎にかすり、掴んでいた手を離してしまう。
 俺は倒れそうになる体に力を入れ堪えようとするが、足元に当たる力に気づき全力で地を蹴る。
 だが、少し遅い。

「ッつ!?」

 全力で振るわれた白の足刀に足を刈られ、地を蹴った勢いのままバランスを崩し転がってしまう。
 勢いのまますぐさま立ち上がり、体勢を立て直す。
 地を蹴った勢いのまま転がったおかげか、白からは多少距離が取れている。近ければ組み敷かれていたかもしれない。

(つえぇなオイ。糞が)

 土で汚れた服を叩きながら、俺は内心愚痴を言った。

 才能という物は残酷な物で、もう技量的には白は俺を越した。
 力で押そうとすれば躱され、出だしで潰されもする。
 チャクラで肉体の強化も出来、その技量も白の方が上だ。チャクラ量でさえ、現時点ではそこまでかけ離れてはいないと思うが白の方が上だろう。
 今では転がされるのは基本俺の方。悲しい話だまったく。
 “自分より強い奴の隷属”を望んでいた以上狙い通りなわけだし仕方ないのだが、何にも感じないわけではないのだ。

(だからと言ってこのまま一方的に負けるのは癪に触るがな。偶には勝たんと)

 そう思い、ぐっと両の拳を握りしめる。

(正攻法が駄目なら……)

 地を蹴り、白に近づく。
 白の足刀が脇腹に迫る。
 それを全力で殴りつけ弾く。手に一瞬痺れが残るが無視。
白が追撃の拳を鳩尾に向け放つが体を捻り何とか避け、そのまま右の肘を白の顔に向け放つ。
肘を避ける様に白が少し下がる。肘は空振りし、俺の右腕が白の顔の前を通り???

(???かかった)

 手を、開いた。

「???ッッッ!?」

 白が驚き跳び下がる。その手は自分の目を抑えている。
 何が起きたのかは簡単だ。先
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