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豹頭王異伝
暁闇
青星党の使者
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 グインは各部隊を一旦、エルファに集結させる模様だが。
 リンダの要請に応え、カレニア政府の支援を表明している。
 世界最強のケイロニア軍を敵に廻すとなれば、イシュトヴァーンと雖も相当な覚悟が要る。
 ゴーラ軍の将兵も二の足を踏み、移動速度が鈍ると推定し古代機械とアルド・ナリスの護衛を優先。
 心を鬼にして上級魔道師ロルカ、数名の下級魔道師は最後の切り札として残す。
 カラヴィア軍の護衛は上級魔道師ディラン、部下サルスに限り運を天に任せると決めた。

 レムス軍の約2万は第三勢力、カラヴィア軍の転進に伴い別働隊タラント軍に合流。
 クリスタルを護る態勢を崩さず、ダーナムに睨みを効かせ神聖パロ側を威圧。
 パロ北西部では竜の歯部隊が行軍を再開、レムス側の魔道士に拠る奇襲も予想されたが。
 上級魔道師ギールは姿を隠し、上空から抜かり無く周囲を警戒。
 グインが数タルザン毎に受け取る念波、心話は『異常なし』と告げる物ばかりであった。

 黒竜将軍トールの許に通常より数倍早く、伝令が到着し集結地エルファに進路を変更。
 下級魔道師ディノスは周辺を魔道で走査《スキャン》、異常が無い事を確認。
 続いて金犬将軍ゼノン、ワルスタット選帝侯ディモスの許に伝令を伴い移動。
 伝令の騎士は各部隊の指揮官から返事を預かり、ディノンの術で通常より数倍早く復命。
 エルファに入った遠征軍の最高指揮官、グインを思い掛けぬ人物が待ち受けていた。

「ユー・メイではないか!
 どうした、キタイで何かあったのか?」
 東方の魔都で暗殺教団の刺客、闇の司祭、鬼面の塔と闘った北の勇者に駆け寄る小柄な姿。
 生き別れの兄妹再会を実現した恩人、豹頭の戦士を見い出し黒曜石を思わせる瞳が輝く。
 嘗て青鱶団の戦闘班長を務めた黒い小竜、シャオロンの妹ユー・メイ。
 彼女は男の子の格好を止め、兄に良く似た端整な顔立ちを際立たせていた。

「グインさん!
 会いたかったよっ!!」
 馬から降りたグインは、小柄な少女に太い腕を差し伸べた。
 8歳になる筈の浮浪児ヴァニラ、改め少女ユー・メイが抱き付く。
「このおじいさんが、連れて来てくれたのっ」
 再び思い掛けぬ者を見出し、黄玉《トパーズ》色の眼が強い光を放った。

「イェライシャではないか!
 おぬしがユー・メイを連れて来てくれたのか?」
「元気そうで何よりだ、王よ。
 この娘をキタイから連れて来たのは、わしの意思ではないがな。
 お主の盟友とも言うべき青星党の指導者、キタイの民を束ねる大君の器を備えた若者。
 希望の星と成りつつある存在、リー・レン・レンからの使者としてな」
 ドールに追われる男、イェライシャが飄々と微笑い豹頭王に頷いた。

 魔道師の陰から特徴の有る帽子、キタ
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