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東方虚空伝
第一章   [ 胎 動 ]
二話 その夜…
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がそう言ってきた。鈴音さんの喋り方ってこう間延びして力がぬけるんだよねー。

「すみません鈴音さん」

「いいのよ〜〜、でも喧嘩はほどほどにね〜〜」

 永琳の母親だけあってかなりの美人。髪の色は永琳と違って紫色、長い髪をポニーテールにしている。モカベージュのフロントタックジャージーワンピースに身を包んでいる。
 こんなのんびりした人だけど昔は研究者だったらしい。(のんびり屋だからって研究者に向かないわけじゃないか)
 鈴音さんからそれぞれグラスを受け取り飲み物を注ぎ終わった後、永琳が立ち上がり音頭をとる。

「それじゃ、お兄様の外壁守備隊入隊を祝して…乾杯!」

「「「 乾杯!!! 」」」

 キン!キン!とグラスの触れ合う音が響き、そして全員一気にグラスの中身を飲み干す。そうしてパーティーは始まった。




□   ■   □   ■   □   ■   □   ■   □   ■





「そういえば、庵さんはどうしていままで虚空を入隊させなかったのかしら?」

 結構酔いが回ってきた美香が唐突にそんな事を言ってきた。ちなみに永琳と鈴音さんはまだほろ酔い程度である。(実は結構な酒豪なのだ)
 僕はというとまったく酔っていない。お酒に強いとかではなく“効かない”のだ。何故かは解らないがアルコールや毒物(すこし前に永琳に実験された)など全く受け付けないらしい。
 まぁ、その話は置いといて――――

「???そんなの弱かったからじゃないの?それ以外に理由なんてないでしょ」

 考えるまでもなく未熟だからの一言で済むのだが美香はどうやら違ったようだ。

「二年前でも、もう十分な実力はあったはずよ?私から一本取れていたんだから」

 あぁ〜懐かしいなー、たしかに僕の初勝利は二年前だった。はしゃぎ過ぎて次の日に美香にボコボコされたっけ…。

「虚空は六年前から庵さんに鍛えてもらっていたんでしょう?だったらもっと早く入隊させようとしてもおかしくは無いわ。あの人の性格的に」

 そう言われると確かにそうだ、あの人の性格的に。僕の脳裏に修行時代の記憶が蘇る。





□   ■   □   ■   □   ■   □   ■   □   ■





「いいか!虚空!戦闘において一番重要な事それは防御だ!相手の攻撃を防げなければすぐに死ぬぞ!防御に必要な事それは気合だ!今からお前を攻撃する!気合で防いでみろ!いくぞ!」

「ぎゃあああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 またある時は――――

「いいか!虚空!守ってばかりじゃ追い詰められる!そこで必要になるのが回避だ!相手の攻撃を躱しその隙をつけ!必要なのは気合だ!じゃぁ実践だ!いくぞ!」

「ぎゃあ
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