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占術師速水丈太郎 五つの港で
第十五章
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第十五章

「まことにです」
「しかし今はああして」
「皆こう言っていますよ。自業自得だと」
「自業自得ですか」
「そうです」
 彼は実にはっきりと速水に対して述べた。今彼等は外を歩いている。速水が最初に来た時に見たあの短艇のある岸辺をである。そこを二人並んで歩いているのであった。
「あまりにも悪事を重ねてきた結果です」
「そこまで酷い連中だったのですか」
「海上自衛隊も人間の集まりです」
 一曹は今度はこのことを言ってきた。
「つまりです。色々な人間がいます」
「善人もいれば悪人もいると」
「自衛隊という組織の特色でしょうか。素晴らしい人は何処までも素晴らしいのですが」
「悪人は何処までもですか」
「そうです。何処までも屑だったり下種だったりします」
 彼は忌々しげに速水に対して話したのだった。
「それがかなり極端なのです」
「そういう特色があるのですね」
「そしてあの二人はその極北にありました」
「成程」
「他にも三人知っていますが」
 こんなことも言った彼であった。
「それにしてもあの二人はです」
「評判が悪いとは聞いています」
「はい、最悪でした」
 顔を顰めさせたままの言葉であった。
「いなくなってもそれで悲しむ人間もいないのでしょう」
「残念ですが世の中そうした人間もいますね」
 速水はかなり達観した面持ちで言葉を返した。
「いい人もいれば悪い人もいるということで」
「上の上の人もいれば下の下以下の人もいますが」
「人間性として」
 速水はさらに言っていく。
「素養や品性、人格、教養、物腰、礼儀作法、様々なものがありますが」
「あの二人は全てにおいて下の下以下でした」
「そうした人間でしたか」
「それぞれの基地でも厄介者が死んだということで喜んでいる筈です」
 まさにそうだというのである。
「全く以って」
「成程」
「さて、それでなのですが」
「はい」
「今日はここに留まられるのでしょうか」
 速水自身に対して問うた言葉である。
「それはどうなのでしょうか」
「はい、そうなっています」
 静かにこう答えた速水だった。
「防衛省の方からのお話で」
「そうですか。それは好都合ですね」
 一曹もそれを聞いてまずは安心した言葉を述べるのであった。
「既に部屋も用意してますので」
「有り難うございます」
「それにです」
 彼はさらに言葉を続けてきた。
「お夕食は」
「それは外で」
 これについても防衛省と話をした通りであった。このことをそのまま述べたのである。
「摂るつもりですので」
「左様ですか」
「はい、江田島といえば」
「牡蠣ですね」
 一曹が最初に話に出した食べ物はそれであった。
「やはりそれです」
「そうですか。牡蠣
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