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連邦の朝
第35話 天秤
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トリスタニア郊外にある、とある家。

その家の中は、少々安っぽい外装にそぐわない贅を凝らした内装であり、他国にまだ存在するただただ私腹を肥やすことしか頭に無い悪徳貴族や成金商人ですらこの家に入れば、自分の服装や家が安っぽい思って部下に色々な物を買いに行かせるだろうと容易く考えれるほどの物だった。

「で、どうするのですか?辺境伯様?」
カールが聞いた。

「カール、事は性急に決める様な事案では無いだろう?それに私達の処遇がどうなるか判っていない。私の派閥ごと移るのだ。派閥の者達の処遇も良くしてくれないと派閥が崩壊して我々は派閥無しの脆弱な存在として、一つ一つ磨り潰され路頭に迷うはめになるのだ。焦りは禁物だ…」
彼は、ある国から来た辺境伯だ。

彼らが来ることになった経緯を過去に遡り見てみよう。

彼らは、ゲルマニア貴族であり、ゲルマニア貴族の中でも王から信頼されているか使い捨ての盾の様な扱いんされている国境近くの貴族である。国境近くの貴族である彼らは、トリステインやガリアの他にもトリステインから逃げ出した賊の残党など(殆んどはトリステイン特殊部隊)と戦う為に連日訓練をしている。結果、日々膨大な軍の維持費を必要としている。

この働きに対してゲルマニア王室は、国庫からかなりの助成金を出してきたのだが、ゲルマニア継承争い等の政争が激化それにより政争の資金確保の為に連日高官が国境予算を削った。

結果として、国境貴族達の負担は増えて不満も増えた。諸侯の不満が見え隠れしている中で、決定的な事件が起きた。国境貴族に雇われていた傭兵団がゲルマニア王室直轄領を強襲、略奪してその貴族自体も消えた。
ゲルマニアの調査結果は、その貴族は裏側でロマリアの教皇と繋がっていたらしいと言う結果が出た。

ゲルマニア高官ら怒り、被害の補填と自分の派閥資金確保の為に、半ば強制的に金を徴収した。更には、狡猾にも色々な理由を並べて追加徴収を国境貴族に課した。断った貴族には、反逆疑いとして所領没収、貴族資格剥奪し、所属していた派閥もそれに巻き込まれる事が起こり国境貴族は派閥という後ろ楯を得られなくなった。
その貴族の中でも一番大きい辺境伯が代表となり派閥を作り、自衛をしていた。

何故この怪しいとされる貴族達を配置換えしなかったのかと言うとこれも政争が関係している。国境貴族と言うのは、基本忠誠心が高い者が多数であり、少数には都で政争に敗れ左遷された貴族や疑惑のある貴族が盾として配置されていた。今や全体が疑惑が懸かっている。この事から下手に動かして失策するよりは、動かさずに他の派閥が動かして失策してくれた方が、政争のカードも増えて嬉しいと言う考えが蔓延していた為に誰も動かなかった。

辺境伯らが、トリステインに来たのはある縁からである。
トリステイ
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