暁 〜小説投稿サイト〜
真・恋姫†無双~現代若人の歩み、佇み~
第三章:蒼天は黄巾を平らげること その2
[1/11]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話


「最近さぁ・・・風当たりが強いんだ」
「ええ。知っています。何でも、愛の告白とやらをやらかしたとか」
「・・・いいよなぁ、お前は。誰からも無視されないままなんて。俺なんて、ついこの前詩花に、『はい、これ今日の御昼ね』って言われたきりずっと会話してないんだぜ・・・?信じられるかよ、あれで俺の相棒だったんだぞ?」
「文句を言わないで手綱をちゃんと握って下さい。愛馬にまでやきもちを焼かれたら、本当に救われませんよ?」
「・・・お前は救ってくれないのかよ」
「身内には甘くないので、私」

 長社で得た大勝利の後、曹操・皇甫嵩・朱儁の連合軍は汝南へと行軍をしてはや一月を過ぎんとしていた。
 仁ノ助は藍色の外套をはためかせながら新たな愛馬を駆って進んでいる。愛馬の名は吉野。彼が日本にいたころに幾月か滞在していた場所よりとったものだ。前の駄馬と比べればこれはまさに良馬の中の良馬だ。仁ノ助の親愛に満ちた行動もあって、浅い日にちで人馬一体となるに足りた。主以上の我慢強さと精強さを持つ彼はまさに仁ノ助のもう一つの魂となったのだ。
 仁ノ助は吉野の上より後方を振り返って自分に付き従う凡そ二百の騎兵を見る。先の戦いの活躍の後に、曹操は彼を二百の騎馬隊長に封じ、自軍の戦線構築を一部任せるに足りると公言した。彼の戦振りを見た夏候惇と夏候淵、そして曹仁は異議を唱えなかったが、軍師である荀イクは怨嗟の目を向けてきながら反対の意を奏上した。

「客将である彼の身には過ぎたることであり、軍の連帯感を緩める危険があります。即刻この浮気性の精液達磨を排除するべきです」

 私怨が篭った言いぐさであったが、自軍出身でもない彼を重用するという事は信賞必罰の『賞』の重みを失しるが如き決断であり、兵達の忠誠心を揺るがす行為であると彼女は忠言したのだ。なるほど、軍師の立場から見れば確かにその通りであった。
 しかし曹操はこの意見を十分に聴いた上で言った。

「斯くの如き戦振りをする者は我が軍には少なく、また兵達に自分の活躍次第では出世・褒美もあり得ると思わせることも大事。これらの益は賞の重みを失しる可能性を上回るものであり、よって彼を登用する」

 荀ケはこれを聴いて苦虫を噛んだ顔をしながら渋々承諾した。しかし曹操が言葉の終わりに照れたような熱っぽい瞳を彼に注いだのを見て、彼女は一気に憤慨し、同じく憤慨した夏候惇や錘琳と共同戦線を張って彼にリンチを行い、荒々しい歓迎を施したのであった。このようにして仁ノ助は客将という立場から、正式に曹操軍の一将軍となったのであった。そのための痛手はかなりのものであったが。
 また同時に曹操は、賊との戦で活躍した者達を賞賛し、特別優れたものに対しては一部兵を任せる立場に置いた。錘琳は先の戦で賊十余人を討ったことを考慮し、目出度くも
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ