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必死なのだ
第六章
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「出られそうですね、ただ」
「この調子でいけばだね」
「はい、このままいけば」
 あくまでこのペースを維持出来ればというのだ、赤穂は動き回りながら彼と同じく作業にあたっている大石に話したのだ。
「空港で航空機に飛び乗って」
「港は余計に凄いことになってるみたいだね」
「そうですね、スクランブル状態で始終離着陸があって」
「それだけ皆逃げているんだな」
「本当に戦争が近い感じですから」
 その独裁国家の恫喝はさらに酷いものになっている、戦時体制とまで言っている位だ。
「それも当然ですね」
「そうだな、じゃあ急ぐか」
「食べて交代で休んで」
 そして適材適所で作業を進めてだった。
 彼等は何とか作業を進めていら、そうしていって。
 何とか三日目の夕方に全てを終わらせた、掃除も終えてがらんどうとなった支社の中で。
 大石は社員全員に労いの言葉を言ってから即座にこうも言った。
「いいか、それではだ」
「はい、今からですね」
「すぐにですね」
「逃げるぞ」
 一言だった。
「空港までな」
「もう車は用意しています」
 ここでも赤穂の采配が出た。
「後は飛び乗って空港まで向かいましょう」
「飛行機の切符はいいな」
「それもしました」
 実は昨日のうちに仕事の流れを見て済ませた、緊急事態なので外務省にも連絡して何とか人数分手配してもらったのだ。
「では後は」
「よし、皆すぐに車に乗るからな」
 そして空港に向かう、そのうえでだった。
 車で道を走る、だが渋滞だった。その時に。
 赤穂はカーナビを見てすぐに言った。
「脇道から行こう」
「脇道ですか」
「ここからすぐ右の脇道は空いているからな」
 それでだというのだ。
「そこから空港に行くぞ」
「わかりました」
 運転をする若い社員も応えてそうしてだった。
 彼等は脇道、案外空いていたそこから全速力で空港に向かった、そのうえで。
 二人で向かう、そして空港に辿り着くとよりによって最悪の情報が入った。
「あの国が宣戦布告してきたそうです!」
「何っ、遂にか!」
 これには大石も驚いて携帯を見て叫んだ社員に応える。
「じゃあ今にもか」
「この空港敵の射程圏内ですよね」
「大砲のな」
 国境線から砲撃すれば確実に届く、そんな場所にあるのだ。
「まずいぞこれは」
「あの、速く逃げないと」
「落ち着け、とはいってもな」
「今乗る航空機が来ました」
 赤穂が夕方の滑走路を見ながら一同に告げる。
「あれに乗って」
「よし、すぐに乗るぞ」
 大石も告げる、そうしてだった。
 彼等はすぐに飛行機に乗る。だが。
 飛行機は中々出ない、社員はこのことにまた騒いだ、
「おい、何で離陸しないんだよ」
「今にも攻めてくるってのに」

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