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銀河英雄伝説〜生まれ変わりのアレス〜
アンドリュー・フォーク
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「くそっ」
 取り巻きの集団と別れて、アンドリュー・フォークは短く毒づいた。
 トイレの洗面台。
 鏡に映る自分の姿を見ながら、フォークは苛立つ心を沈めるように、深呼吸をする。それでも心に残った苛立ちは簡単には抜けることはなかった。

 腹だたしい奴だ。
 そう呟いた心の中で浮かぶのは、先ほどまで会話をしたアレス・マクワイルドのことだった。
 二学年にして、成績は十四位。
 戦略や戦術論に優れているが、不得意科目の艦隊操縦と射撃実技に足を引っ張られている。むしろ、二教科も苦手科目がありながら、二桁の前半に順位が位置することは凄い事なのだろう。

 少なくとも、戦術という一点ではフォーク自身も勝てる気がしない。
 悔しいことであるが、ワイドボーンとの一戦を見て痛感させられた。
 勝てないと。それは認めよう、だが。
「十四位だ、十四位」

 所詮は成績が十四位であり、学年主席のフォークに比べれば遥かに下だ。
 本来なら並ぶことすら許されないのに、戦術シミュレーターでの戦いが全てを変えた。話題に上がるのはマクワイルドだけであり、フォークが注目されることは少なくなった。
それどころか。

 考えて、フォークは唇を噛み締めた。
 マクワイルドと同等の、いやそれ以下の成績の人間から当たり前のように話しかけられる。
 ただクラスメイトというだけでだ。
 今はそうかもしれないが、俺はもっと上に行く人間だ。

 同じと思われるのは、酷く苛立った。
 後悔させてやる。
 フォークは思った。
 今はせいぜい楽しんでおくがいい。

 だが、いずれ上にあがった時、貴様ら全員を後悔させてやる。
 その時が楽しみだと、鏡に映った自分の姿がゆっくりと笑った。


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