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銀河英雄伝説〜悪夢編
第十八話 最近よく夢を見るんだ
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日続けてです。天変地異の前触れではないかと心配しておりますよ」
「……何を馬鹿な」

クレメンツが笑うのを必死に堪えている。こいつには夢の話は出来ないな、それこそ天変地異の前触れだと騒ぎだすだろう。そして逃げ出す奴を笑うに違いない。それにしても冷徹非情な宇宙艦隊総参謀長? 俺はオーベルシュタインか! 碌でもない。

「周囲に心配をかけるのは良くありませんな。……後悔しておいでですか」
「……後悔?」
「クライスト、ヴァルテンベルクの事です」
「……まさか」
冗談かと思ったがクレメンツは酷く生真面目な表情で俺を見ていた。まさか、後悔などするはずが無い。あの馬鹿共の所為でどれだけ無益な犠牲が出た事か……。

「後悔などしていません」
「なら宜しいですが、……閣下は優しい所がお有りですからな。あの二人を自分の命令に従わせる事が何故出来なかったのかと後悔しているのではないかと思ったのです」
なるほど、そういう意味か。まあそう思った事も有ったけどな。

「私が思っているのは第五次イゼルローン要塞攻防戦の直後にあの二人を処罰しておくべきだったという事です。そうであれば今回の様な事は起きなかったはずです。ですが当時の私には力が無かった……。正義を貫くのにも力がいる。理不尽ですよね」
「理不尽ですか……、確かにそうですな」
クレメンツが頷いた。

あの会戦の後、オーディンへの帰還までの航海は馬鹿共への事情聴取で終わった。馬鹿八人衆は取り調べとはどういう事だと抗議したが素直に話さないとクライスト、ヴァルテンベルクの主張だけが報告される事になる、そう言うと皆積極的に話しだした。お互い信頼関係なんて欠片も無かったのだろう。貴族達の間でも擦り合いが有ったほどだ。

連中の話を総合するとこういう事になる。例のクロプシュトック侯の反乱でブラウンシュバイク公が面目を失した。なんとかそれに対する報復をと言うのが事の発端だったようだ。クライスト、ヴァルテンベルクを利用しようと考えたのはシャイド男爵らしい。元帥杖授与式で俺とあの二人が反目しているのを目撃し、利用できると判断したようだ。

シャイド男爵はフレーゲル男爵に話しそこから残りの六人に話しが伝わった。充分いけると考えた彼らはブラウンシュバイク公にあの二人を利用して自家の勢力を拡大しようと提案したようだ。提案その物は悪くは無い、ブラウンシュバイク公もやってみるかとその気になった。

クライスト、ヴァルテンベルクに話しを持ちかけると当然だが喜んで話しに乗った。どうもこの時点ではあの二人に功積を立てさせ俺を押さえるのが目的だったようだ。上手く行けば帝国軍三長官の内二つのポストをブラウンシュバイク公派で押さえられる、そんなところだったのだろう。

問題はその後だった。軍人としてそれなりの能力
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