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我が剣は愛する者の為に
欲するは力
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いつもの場所に薪を置いて、家に入ると既に朝食の準備ができていた。
愛紗はまだ寝ているようだ。
家には父さんと母さんがいて、ご飯も皿に盛りつけてあった。

「ほら、ご飯出来たから一緒に食べましょう。」

母さんに言われ、俺は床に座り合掌して食べ始める。
しばらくは沈黙が続いていたが、父さんが口を開く。

「縁、私は正直嬉しかったぞ。」

「えっ?」

突然の父さんの発言に思わず食べるのをやめて、目の前に座っている父さんに視線を向ける。

「愛紗の事をそこまで真剣に考えてくれてな。
 まだ、お前も愛紗も幼い。
 答えを出すのはもう少し後でも問題ないはずだ。」

「私も父さんと同じ意見だよ。
 それとさっきは笑ってごめんね。」

そう言って母さんは頭を下げてくる。
俺は箸と器を置いて、慌てて言う。

「そこまで気にしてないから頭をあげて。」

「そう?
 それなら、ご飯を食べたら修業を始めるわよ。」

それだけを言い終えると、再び母さんは食事を再開する。
俺もそれに続いて再開する。
食べ終わり、器を片付けて愛紗が寝ている布団に近づく。
可愛らしい寝顔を浮かべながら、愛紗は眠っていた。

「う・・ん・・・・・・兄様・・・・・」

寝言で俺の名前を呼ぶ。
その事を聞いて俺は改めて決心する。
愛紗は何があっても絶対に守ろうと。
俺は壁に立ててある木刀を手に取って、外で待っている母さんの所に向かう。

(その為にも少しでも強くならないとな。)









決意を新たにして母さんと修行したが、結果は言うまでもなくフルボッコにされた。
俺はいつも通り大の字になって地面に転がっていた。

「う〜ん、筋は良いんだけどね。」

母さんは木で出来た薙刀を支えにしながら俺を見下ろしている。

「正直、剣の指導は全くできなからね。
 こればっかりは縁が自分で見つける他ないわ。」

「うん、分かっている。」

「てか、大丈夫?」

「全身が痛い。
 心配してくれるんなら少し威力を手加減して欲しい。」

「あはは、縁と修行していると気持ちが昂ってね。」

最高にハイってやつなのか。
俺は木刀を支えにしながらゆっくりと立ち上がる。

「兄様、大丈夫ですか?」

修業が一区切りして、愛紗が心配そうな表情を浮かべて俺に近づいてくる。

「大丈夫だ、心配するな。」

本当は全然、大丈夫じゃないけど俺は無理に笑顔を作って愛紗の頭を撫でる。
全身がボロボロなのに気がついている愛紗だが、俺が笑顔を浮かべると愛紗も笑顔を浮かべる。

「無理はしないでくださいね。」

「もちろん。」

母さん次第だけど、と思いながら俺は家に向かう。
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