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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
早すぎる終わり ─前哨戦─
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めだ。

 止まっていることに俺が耐えられないし、さっきからイライラして仕方がない。

Shadow(黒き者よ), an embrace(その手に温もりを)

 詠唱を終え、慎二に向かって歩き出す。

 いつまでも見物してたってしょうがない。
 ライダーを倒すか、慎二をどうにかすれば終わる話だ。

「な、なんだよ黒守!」

 焦った様子で後退しようとする。

 その足を、影手が掴み縛る。

「えっ? ……あ、っ……」

 声にならない悲鳴と共にその場に崩れ落ちる。

 主の異変に気づいたライダーがこちらに注意を向けるが、フェンサーと向き合った状態で助けに来ることは出来ない。

 そちらに意識を逸らすこともなく、俺は慎二だけを睨みながら距離を詰めていく。
 叫び散らしながら影から逃れようとするが、暴れれば暴れるほどに影の束縛は強くなる。

 目前まで辿り着き、片腕で胸ぐらを掴み上げた。

「おまえが俺をどう思ってるかは知らんが、友人のよしみだ、聞いてやる。令呪を出せ、慎二」
「ふ、ふざけるなよ! 令呪が無くなったら、僕は…………!」
「聞き方が悪かったか? 自分の命と令呪、どっちか大事な方を選べ」

 掴み上げたまま少し歩き、手頃な木の近くに運ぶ。

 空いている方の手を木に添える。
 出来るだけ範囲を絞って、刻印から火系魔術を発動させた。

「っ……ひ、ぁ…………」
「理解したか? じゃ、次はおまえの脳ミソの番だな」

 人間と同じ程度の胴回りをした樹の幹を、粉々に吹き飛ばした。

 木屑やら燃えカスが宙に散り、風に舞って飛んでいく。

 見せ付けるように実演してやったので、これで考えを変えるだろう。
 この期に及んでまだ逆らうだけの根性があるなら、そもそもこんな事態には陥っていない。

 返答を要求するように、視線を合わせ続ける。

「はぁ、はぁ……く、くそ」
「いいから答えろ」
「わ、わかった、ちょっと待て────」

 怯えきった表情が愉悦の色に変わる。
 嘲るような笑みを浮かべた慎二を訝しみ、後ろを振り返る。

 俺の視線の先には、鉄杭を構えてこちらに翔るライダーがいた。





 無機質な顔で蛇が牙を剥く。
 殺気もなく、防御も間に合わない速度で死が迫ってくる。

 俺は他人事のように、『あ、避けられないな』なんて考えていた。

 鉄杭はもう目前。
 数秒の後、地面に転がる死体を想像して。

 その空想は、現実となった。





「がっ、は…………」

 袈裟懸けに斬り伏せられ、身体が地に沈む。
 傷から噴き出す血飛沫と、口から吐き出す血塊が周囲を赤一色に染める。

「あ……く
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