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至誠一貫
第一部
第四章 〜魏郡太守篇〜
三十七 〜獅子奮迅の嵐〜
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さに死屍累々、といった風情であった。
 皆、着の身着のままで、思い思いの場所で眠っている。
 ……この状態で、よく各々の寝る場所があったものだ。
 結局、竹簡の山は見事、片付いた。
 大半は県令や県長など、本来は郡太守の処まで持ち込まれぬものばかり。
 それ以外も、重要な案件はほんの僅か。
 嵐曰く、代理すら立てられない非常時であれば、文官の協議で決を下しても構わぬものが殆どらしい。
 ……さて、顔でも洗って参るか。

「おや、お兄さん。おはようですよ」
 井戸のところで、風と出くわした。
「うむ、おはよう」
「……酷いお顔ですねー。徹夜してしまいましたか?」
「……ああ。そう言う風こそ、一睡もしていないのではないか?」
「いえいえ、風は何処でも眠れますからご心配なく。でも、いきなり稟ちゃんと元皓ちゃんを連れて行かれたのには、ちょっと困りましたけどね」
「済まぬ。二人にも、手伝わせてしまったのだ」
「仕方がないのです。……お兄さん、ちょっと」
 と、風は手招きをする。
 私が屈むと、そっと耳打ちをしてきた。
「郭図さん達の事、動かぬ証拠を見つけたのですよ。風も頑張りましたから」
「……そうか。良くやったな、風」
 その頭を、そっと撫でてやる。
「ちゃーんと、後でご褒美はいただくのですよ。それよりお兄さん、善は急げって事で」
「……うむ」
 井戸水を汲み上げ、冷たい水で気を引き締めた。


 その後で。
 私の事を罵倒しようと手ぐすねを引いてきた古狸共に、処理を終えた竹簡を突きつけた。
「ま、まさか……あ、あれ全部を……?」
「そうだ。急ぎ、と申したのはその方らではないか」
「あ、あははは、さ、然様でしたな」
 全員、顔が引き攣っていた。
 ……さて、古狸共に引導を渡す時が来たようだな。
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