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銀河英雄伝説〜悪夢編
第五話 呆れてものが言えん
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みで有るな、グリンメルスハウゼン提督」
「総司令官閣下……」
「陛下も卿が戻るのを楽しみにしておいでであろう」
グリンメルスハウゼンが泣きそうな表情をしている。そうか、私も涙が出そうだ。ようやく頭痛の種から解放される。

「このグリンメルスハウゼン、これまで生きて来て今日ほど嬉しい一日は有りませぬ。もはや我が生涯に思い残す事無し……」
その言葉が聞きたかった……。そうか、そう思ってくれるか……。
「この上はなお一層粉骨砕身し、陛下の御宸襟を安んじる事、それだけが我が望みにございまする」
「……」

それは、戦場に出るという事か……。いや、私の思い過ごしだ、卿は一言も戦場に出るとは言っていない。そうだな、グリンメルスハウゼン? 泣いてないで答えろ! 陛下の御名を出したのは拙かったか? いや間違ってはいない、老人を感極まらせるには必要だったはずだ。

そうだろう、ヴァレンシュタイン? ……ヴァレンシュタインは無表情に私を見ている。もしかすると私を責めているのか? 皆が勝利に沸き立つ中、天国から地獄に突き落とされた私だけが、いや私とヴァレンシュタインだけが喜べずにいた……。



帝国暦 485年 11月 20日  オーディン  軍務省  エーレンベルク



「戦闘詳報は読ませてもらった。見事な勝利だ、先ずは目出度い」
『うむ、反乱軍にはかなりの損害を与える事が出来たと思う』
ミュッケンベルガー元帥の口調は満足そうだが表情は幾分硬い。私も同様だろう、目出度いとは言ったが本心からは喜べずにいる。

「こちらに戻るのは何時頃になるかな」
『明日、イゼルローン要塞を発つから早ければ年内にはオーディンに戻れるだろう』
「それは良い、将兵達も喜ぶだろう。新年を家族と共に祝えるのだからな」
『うむ』

将兵達もクリスマスと新年くらいは家族と共に祝いたいだろう。クリスマスは無理だったが新年はそれが出来る。しかも帝国軍の大勝利だったのだ、喜びは大きいだろう……。

「気になっている事が有りそうだな、例の老人の事か」
私が話を向けるとミュッケンベルガー元帥は渋い表情で頷いた。
『どうも上手く行かぬ』
「武勲を上げたようだな、あの老人が帝国軍の勝利を決定づけた様だが」
ミュッケンベルガー元帥の顔が益々渋くなった。

『いや、それは良いのだ』
「?」
『あの老人に十分な功を立てさせ心置きなく軍を退役させる、そう思ったのだ……』
「なるほど、面白い案だが卿の発案かな?」
ミュッケンベルガー元帥が首を横に振った。

『いや、ヴァレンシュタイン少将の発案だ。あの老人が出兵に拘るのは周囲に認められたいからかもしれぬ、そう思い試してみる価値は有ると思ったのだが……』
「上手く行かなかったか……」
『上手く
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