暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
マザーズロザリオ編
episode5 守る者
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ヤーの蘇生が出来ないようにしてしまうのが手っ取り早いので、今回も魔法系の二人を排除しようと試みたわけだ。

 が。

 (ま、こいつらは、違うだろうからいいけどな……)

 斬りかかってくるナイフが俺の爬虫類的な頬を掠め、HPが僅かに減少するのを眺めながら、冷静に分析していく。ワンパーティーでボス攻略、なんてアホなことを考える他のプレイヤーがそうそういるわけがないので、今襲っているこいつらはボス攻略メンツとは考えにくい。

 ならば。

 (狙いは俺、だろうな……)

 俺の誤算は、この『二十九層の魔物』があまりにも有名になり過ぎたせいで、それ目当てに来るやつが増えたことだ。Mobを演じる関係上、ボスを狙いに来た大パーティ−メンツだけを攻撃する訳にもいかないために、とりあえず通りかかったプレイヤーは襲っているのだが、正直、これは俺の本意ではない。

 敵の見事な連携での波状攻撃で、避けきれないヒットが散発的に俺のHPを削っていく。やはりこの体では両手剣や長槍といった高威力の武器はかわせても、短剣三つは流石に全部はかわせない。じりじりとHPを削られていき既に五割割って黄色の注意域。

 これ以上戦闘するのは、やはり危険か。

 (そろそろ、大技が増えてくる、し、なっ!!!)

 振りかぶられた両手剣の突進は、かなり上位の突進系ソードスキルである、《アバランシェ》。恐らく俺のHPがかなり(ボス級Mobとしては異常なほどに)少ないことを理解して一気に倒してしまうつもりなのだろう。勿論かなりの威力の分当てるのは難しく、俺からすれば避けるのは然程難しくない。今回も効果範囲を完璧に見切って足払いをかける。

 だが、避けやすいとは言っても、絶対に当たらないわけではない。
 千に一つ、万に一つとはいえ、あたってしまえばそれで終わりだ。


 そうなってしまえば、『魔物』の正体は一気に知れ渡ってしまうだろう。

 (どう考えても、アイテムドロップから『プレイヤー』ってばれるしな……)

 結局、俺は逃走を選択した。まあ、もう戦闘時間は十分を過ぎている。
 これだけ戦っていれば、あとは『仕上げ』をしておけば大丈夫だろう。

 ―――キシャアアアアアッ!!!

 俺の喉から迸るのは、人間のものではない奇声。Mob化したときにしかできない独特な感覚が少々気持ち悪いが、《挑発》の上位スキルである、広範囲のMobの惹きつけ。横道から聞こえてくる奇声は、他の……本物のMobの群れだろう。

 「くっ、コイツ、仲間呼びやがった!」「後ろにもカバー入って!」

 敵の、一瞬の動揺。その隙に。

 「あっ、くそっ! 逃げるぞあいつ!」「くっ、仕方ない、今回は諦めろ! 全滅するぞ!」

 俺は即座に逃げ出した
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