暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/magic girl−錬鉄の弓兵と魔法少女−
A's編
第七十六話 始まる暴走
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どない? そんな言葉を、そんな悲しい顔で言ったって誰が信じるもんか」
「貴方にも心があるんだよ。
 悲しいって言っていいんだよ。
 貴方のマスターは、はやてちゃんはきっとそれに応えてくれる」
「だからはやてを解放して、武装を解いて。
 お願い!」

 二人の言葉にただ二人を静かに見つめる闇の書。
 少しでも届いたのだろうか。

 いや、届いてほしかった。
 だがそれに応えるのは先ほどとは違う大地の揺れ。

 そして、噴き出る炎の柱。

「早いな、もう崩壊が始まったか。
 私も時期、意識をなくす」

 闇の書が指す言葉。
 それは闇の書の暴走。

 もう時間が残されていない。

「そうなればすぐに暴走が始まる。
 意識のあるうちに主の願いを叶えたい」
「Blutiger Dolch.」

 闇の書の言葉に応えるようになのはとフェイトの周りに赤い刃が展開される。

 暴走し、意識を失うとしてもまだ闇の書は道具であろうとした。

「闇に沈め」

 爆音が空気を揺らす。
 だがそれはなのは達を捉えていなかった。

 さらにフェイトの速度が上がった。
 フェイトの新しいバリアジャケット。
 今までの以上に速度に比重を当てたものか。

 これ以上、呑気に見ているわけにもいくまい。

 虚空に剣を投影し、射出することで右腕を縛る触手を切り、自由になった右手で剣を掴み、触手を斬り払う。

「この駄々っ子」
「Sonic drive」

 その時、フェイトがバルディッシュを構え、手足の翼が何かを確かめるように大きく羽ばたく。

 まずい!

「言う事を」
「Ignition.」
「聞け!!」

 凄まじい速度で闇の書との距離を詰めるフェイト。
 その中でまるで差し出すように闇の書をフェイトに向ける。

「お前も我が内で眠るといい」

 防御じゃない。
 まだ見せていないナニカ。

「よせ、フェイト」

 フェイトを追う様に魔力放出で踏み込むがとても追いつけない。

「はあっ!」

 フェイトは正面から真っ直ぐに距離を詰めて、バルディッシュを振りかぶる。

 展開される魔法陣。
 魔法陣に叩きつけられるバルディッシュ。

 バルディッシュは魔法陣を突破できず弾かれる。
 それと同時に光に包まれるフェイト。

 フェイトを抱きとめようと手を伸ばす。
 だがその手は

「あ……し、ろ……う」

 届くことなくフェイトは光の粒子となり闇の書に呑み込まれ消えた。
 空を切る俺の右手、そして俺は地面に着地する。

「貴様!」

 世界は残酷だ。

 全員を助けることなどできはしない。

 わかっていた。
 
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